ARMコアSoCも「Tizen Common」世代の「Tizen IVI」に対応、ルネサスが開発車載半導体

ルネサス エレクトロニクスは、「Automotive Linux Summit 2014」において、同社の車載情報機器向けSoC「R-Car M2」などの評価ボード上で「Tizen IVI」を動作させるデモンストレーションを披露した。

» 2014年07月09日 12時30分 公開
[朴尚洙,MONOist]
「Koelsch」を使った「Tizen Common」のデモンストレーション

 ルネサス エレクトロニクスは、東京都内で開催された「Automotive Linux Summit 2014」(2014年7月1〜2日)において、同社の車載情報機器向けSoC「R-Car M2」などの評価ボード上で、車載情報機器向けLinuxプラットフォーム「Tizen IVI」を動作させるデモンストレーションを披露した。

 Automotive Linux Summit 2014は、The Linux Foundation傘下のLinuxベースの車載情報機器向けオープンソースプロジェクト「Automotive Grade Linux(AGL)」のイベントである。そのAGLの活動のリファレンスプラットフォームとなっているのが、Intelが開発を主導するTizen IVIだ。このためTizen IVIのハードウェアに関わる機能は、まずIntelのプロセッサに最適化する形で開発されている。

「Lager」を使った「Tizen IVI 3.0」のデモンストレーション 「Lager」を使った「Tizen IVI 3.0」のデモンストレーション(クリックで拡大)
「Koelsch」を使った「Tizen Common」のデモンストレーション 「Koelsch」を使った「Tizen Common」のデモンストレーション(クリックで拡大)

 しかし現在の車載情報機器に搭載されているプロセッサは、ルネサスの製品をはじめ、ほとんどが「Cortex-A9」や「Cortex-A15」などのARMコアを搭載するSoCである。このため、多くの車載情報機器メーカーが、Tizen IVIのハードウェア関連機能をARMコア搭載のSoCに対応させることを求めていた。そこでルネサスは、R-Car M2の評価ボード「Koelsch」や、「R-Car H2」の評価ボード「Lager」をリファレンスとしてTizen IVIへの対応に取り組んできたという。展示ブースでは、Lagerを使って、Tizen IVIの最新バージョン「Tizen IVI 3.0」を動作させるデモを披露していた。

 また最近になって、Tizen IVIの開発を行うTizenプロジェクトの開発体制に変更があった。現在のTizen IVIとモバイル機器向けの「Tizen Mobile」の共通部分から基礎プラットフォーム「Tizen Common」を構築し、これにモバイル機器や車載情報機器といった個別のアプリケーションに対応するプロファイルを追加する方式に変更されたのだ。今後のTizen IVIは、Tizen CommonにIVIプロファイルを追加することになる(関連記事:Automotive Grade Linuxが開発成果を発表、リファレンスは「Tizen IVI 3.0」)。

 このIVIプロファイルの開発についても、ARMコア搭載SoCの対応が後手になっている状況に変わりはない。そこで、IVIプロファイルついても、ルネサスが先行して取り組みを進めている。展示ブースでは、Koelsch上でTizen Commonと一部のIVIプロファイルを組み合わせて動作させるデモを見せていた。

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