「Open Interconnect Consortium」(OIC)を例に見てみよう。2014年7月27日に結成されたこのIoT業界団体の創立メンバー企業はAtmel、Broadcom、Dell、Intel、Samsung Electronics、Wind Riverの5社であり、それぞれが提供できるものをまとめると下表のようになり、トップからボトムまでのレンジがカバーされたことになる。
社名 | 提供できるソリューション |
---|---|
Atmel | エンド〜中間デバイスに向けたMCUやワイヤレスのソリューション |
Dell | クラウドサービスて要求されるコンピューティングソリューション |
Intel | 中間デバイス上位〜サーバに向けたMCUやワイヤレスのソリューション |
Samsung Electronics | 中間デバイス向けの広範囲なMPU/SoCソリューション。スマートフォン向けSoCやFlash、DRAMなどのソリューション |
Wind River | エンドデバイスからクラウドまでのデバイスで使われるOSおよびミドルウェアソリューション |
ここでキモになるのは、TinyAVRシリーズの超小型・超低消費電力の8bit MCUから、Cortex-M4ベースの32bit MCUまで幅広くラインアップしているAtmelを引き込んだ事だ(同社はCortex-M7のライセンスも既に取得している)。Atmelのこれら製品はIntelあるいはSamsung Microelectronicsでは提供できないレンジに属しており、そこをカバーすることで「IoTに向けた取り組み」というお題目が真剣味を増すことになった。
そのOIC、2014年10月2日には27もの新しいメンバー企業を迎え入れている(プレスリリース)。さすがに数が多いので列挙は避けるが、今回の追加メンバーの中にはEyeball Networksの様に一種のクラウドサービスを提供するベンダーや、Realtekの様な無線ソリューションを提供する半導体ベンダー、OSS Nokalvaのようにネットワークソリューションを提供するベンダーなど非常に幅広い企業が参加しており、これでソリューションの幅を広げようとしている。
そもそもOICの設立目的は、FAQページにもあるように、「複数の垂直マーケットとユースケースにまたがる形での相互接続性を保障する単一ソリューションを形成できるよう、誘導してゆく」(OIC plans to take the lead in establishing a single solution covering interoperability across multiple vertical markets and use cases.)ことである。
最終的に提供されるものはまだ明確ではないが、提供されているドキュメントを読む限り、さまざまなデバイス上で動くさまざまなOS(と、恐らくはOSなし/RTOS)の相互接続性を確保するためのプロトコルを、既存の標準的なプロトコルの上に追加してゆく形になると思われる。
「んじゃみんなOICに参加すれば幸せになれるのか」というと、必ずしもそうは思わない団体も数多くあったりするのはこの業界では常である。ということで他の団体の話を次回はご紹介したい。
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