　ソニーは2014年10月16日、闇夜に相当する低照度0.005luxの環境でも高画質なカラー映像の撮影が行える車載カメラ向けCMOSイメージセンサー「IMX224MQV」を製品化したと発表した。ソニーでは、1/3型サイズでHD以上の解像度を持つイメージセンサーとして「世界最高感度を実現した」としている。2014年11月からサンプル出荷を開始し、2015年12月から量産を行う予定。サンプル価格は1500円。

車載カメラ向け1/3型有効127万画素CMOSイメージセンサー「IMX224MQV」

星明かりよりも暗いところでも

　IMX224MQVは、1/3型で有効画素数は127万画素。光を電子に変換する効率を高めたフォトダイオードを採用するとともに、電子から電圧への変換効率を高めた回路を搭載することで、従来比約2倍となる2350mV（標準値 F5.6、1/30秒蓄積時）を実現した。さらに、最大72dBまで電気信号が増幅可能なプログラマブルゲインアンプの搭載により最低被写体照度0.005luxを達成した。0.005luxという照度は、「星明かりよりもさらに暗く、闇夜に相当する低照度」（ソニー）という。

低照度時（0.005lux）の「IMX224MQV」の撮影サンプル画像（左）と従来品の撮影画像（右）との比較（クリックで拡大）出典：ソニー

AEC-Q100も取得予定

1/3型有効127万画素CMOSイメージセンサー『IMX224MQV』の撮影サンプル画像（400lux、F1.4、露光時間16.7msec、Gain 0dB時）（クリックで拡大）出典：ソニー

　新製品は、従来の複数回露光のWDR（ワイドダイナミックレンジ）方式と比較して、露光時間を拡張することができるWDR方式に対応しており、対応ISP（Image Signal Processor）との組み合わせにより、低照度領域の画質を改善することができる。目に見えない近赤外領域の光に対する感度を向上させた画素構造を採用し、近赤外用LEDを照射しながら撮影するシステムで使用した場合に、被写体の認識精度を高められるようにもなっている。

　なお、IMX224MQVは、ソニー製品としては初めて自動車向け電子部品の信頼性試験基準「AEC-Q100」に対応する予定だ。

■「IMX224MQV」の主な仕様
型名		IMX224MQV
有効画素数		1305（H）×977（V） 127万画素
イメージサイズ		対角 6.09 mm （1/3型）
ユニットセルサイズ		3.75μm（H） x 3.75μm（V）
フレームレート	Full	10bit 120fps, 12bit 60fps
	1/2間引きモード	10bit 120fps, 12bit 60fps
	2 × 2加算モード	10bit 240fps, 12bit 120fps
	HD mode	10bit 120fps, 12bit 60fps
感度（標準値 F5.6、1/30秒蓄積）		2350mV（Green pixel）
センサー飽和信号量（最小値）		1210mV
電源電圧	アナログ	3.3V
	デジタル	1.2V
	インタフェース	1.8V
インタフェース		CMOSパラレル/低電圧版LVDSシリアル/MIPI CSI-2
パッケージ		72pin BGA
パッケージサイズ		9.0mm×7.5mm

　障害物や人物などの画像を正確に速く認識するなどのセンシング機能を有する車載カメラには、低照度の環境でも、より高画質に映像を撮影できるイメージセンサーが求められている。従来の車載カメラ向けイメージセンサーでは、闇夜に相当する0.005luxの環境で撮影した場合、感度不足により、映像が暗く、色も識別しにくいものとなっていた。

「車載用途など新たな市場開拓」

　ソニーは、「従来、業務用・民生用デジタルカメラやスマートフォンなどのイメージセンサーの開発において、高画質な画像を撮影することを目的に技術開発を進めてきた。今後は、業務用/民生用のデジタルイメージング機器にとどまることなく、撮影画像をもとに被写体との距離や動き、形状、色など、さまざまな情報を取得し識別する「センシング領域」にも注力し、車載用途をはじめとした、イメージセンサーの新たな市場を開拓していく」とコメントしている。

「EE Times Japan『センシング技術』」バックナンバー

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