米国ニューヨーク州に本拠を置くオンラインメディアのMecklerMediaは、3Dプリンタ関連技術の展示会「Inside 3D Printing Conference and Expo」を日本で初開催。MecklerMediaの会長兼CEOであるAlan M.Meckler氏に、展示会開催の趣旨や3Dプリンタ市場の世界的な動向について取材した。
米国ニューヨーク州に本拠を置くオンラインメディアのMecklerMediaは2014年9月17〜19日の3日間、3Dプリンタ関連技術の展示会「Inside 3D Printing Conference and Expo」を東京ビッグサイトで開催した。MecklerMediaの会長兼CEOであるAlan M.Meckler氏(アラン・メクラー)氏に、展示会開催の趣旨や3Dプリンタ市場の世界的な動向について話を伺った。
Inside 3D Printing Conference and Expoは、2013年4月にニューヨークで初開催された。以降、ベルリンやシカゴ、香港など世界各国の10都市でも開催され、日本では今回が初となる。これまでさまざまなテクノロジー分野で展示会を手掛けきたメクラー氏は、3Dプリンタの登場は第3次産業革命であると考え、こうした世界規模でのイベントの開催を決めたという。
今回、Inside 3D Printing Conference and Expoを日本で開催することとなった経緯についてメクラー氏は「3Dプリンタ市場は世界中で急速に拡大しているが、中でも高い技術力を持った日本の市場はとても重要だと感じている。市場の大きさとしても世界のトップ3に入るかもしれない」と説明した。
メクラー氏によれば、2012年から2013年にかけて3Dプリンタの世界市場規模は35%成長しており、これは過去最大の伸び率だという。「3Dプリンタの世界市場は、2014年末までに40億米ドルになると見られており、今後2020年までに200億米ドル、2030年には1000億米ドルにまで成長すると予測されている」(メクラー氏)。
メクラー氏は「米国では、NIKE(ナイキ)がスニーカーの試作に3Dプリンタを活用したり、自動車メーカーが導入を推進するなど、さまざまな業界で3Dプリンタの利用が進みつつある」と話す。また、こうした製品の試作に3Dプリンタを活用する事例の他、人の膝に装着するインプラントやスキーブーツの製造など、3Dプリンタのメリットを生かして個人に合わせた最適な大きさの製品を提供するビジネスも拡大しているという。
また、個人向け3Dプリンタの市場規模については「3Dプリンタ市場全体の中で、個人向け3Dプリンタのシェアは約10%。現在では約500米ドルから個人向け3Dプリンタを購入できる」としている。3Dプリンタ市場の拡大に合わせ、米国内では自分が欲しいものを自分で作る、いわゆる「メイカーズ」と呼ばれる人たちの数も増加傾向にある。
3Dプリンタを利用するには、事前に出力したいプロダクトの3Dモデルデータを用意する必要がある。メクラー氏にこうした3Dモデリング技術の必要性が、個人向けの3Dプリンタの普及に関してどう影響するかを伺ったところ「米国ではMakerBotが提供する『Thingiverse』のような3Dデータのプラットフォームサービスや、『Shapeways』のように3Dデータやモデリングの技術を持っていない人でもプロダクトを作れるサービスの利用が広まっており、誰でも簡単に3Dプリンティングを体験できるようになっている」と語った。
メクラー氏は、今回開催したInside 3D Printing Conference and Expoを2015年にも日本で開催する予定だ。「日本では今回が初開催となったが、とても多くの人が訪れている。今後、数年内に3Dプリンタを製造する日本企業が増えるのではないかと考えている。次回はより多くの日本企業に参加してもらい、さらに多くの人が訪れるようなイベントの開催を目指したい」(メクラー氏)。
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