ダイハツ工業と軽自動車市場で激しく競合するスズキは、2013年8月に軽トラック「キャリイ」をフルモデルチェンジしている。シェアで優位に立つダイハツ工業が、このキャリイをキャッチアップすべく新たに投入したのが、今回の新型ハイゼット トラックだ。
表1は、新型ハイゼット トラックとキャリイについて、外形寸法(全長×全幅×全高)、ホイールベース、最小回転半径、エンジン性能(最高出力/最大トルク)、燃料タンク容量、JC08モード燃費、室内寸法(室内幅×シートスライド量)、荷台寸法(荷台フロア長×荷台長×荷台幅×荷台高)、荷台床面地上高、税込みの車両価格を示している。なお、車両重量、JC08モード燃費、車両価格は、エアコンと電動パワーステアリングを搭載する2WD/5MTモデルのデータを用いている(新型ハイゼット トラックは「スタンダード」、キャリイは「KCエアコン・パワステ」)。
車両名 | 新型ハイゼット トラック | キャリイ |
---|---|---|
外形寸法 | 3395×1475×1780mm | 3395×1475×1765mm |
車両重量 | 760kg | 690kg |
ホイールベース | 1900mm | 1905mm |
最小回転半径 | 3.6m | 3.6m |
エンジン性能 | 34kW/60Nm | 37kW/63Nm |
燃料タンク容量 | 38l | 34l |
JC08モード燃費 | 19.0km/l | 18.6km/l |
室内寸法 | 1340×140mm | 1310×140mm |
荷台寸法 | 2030×1940×1410×285mm | 2030×1940×1410×290mm |
荷台床面地上高 | 660mm | 650mm |
車両価格 | 80万4600円 | 80万6760円 |
表1 新型「ハイゼット トラック」と「キャリイ」の比較 |
新型ハイゼット トラックとキャリイは、ダイハツ工業が15年ぶり、スズキが14年ぶりにフルモデルチェンジしたこともあり、従来モデルと比べて大幅な性能向上が図られている。両社が軽乗用車向けに開発した技術を適用しているので、実用面での車両性能に大きな差はない。
表1に挙げた仕様数値では、新型ハイゼット トラックの全高がキャリイよりも15mmほど高い。その分だけ室内空間にも余裕を持たせた設計が可能になる。
車両重量はキャリイが新型ハイゼット トラックよりも70kg軽い。キャリイはフルモデルチェンジの際に、従来比で最大50kgという軽量化をアピールしていた。一方、新型ハイゼット トラックは軽量化についてあまり言及されていない。
JC08モード燃費は、後発の新型ハイゼット トラックが、キャリイを0.4km/l上回った。エアコンと電動パワーステアリングを搭載しないモデルで比較すればその差は1km/lまで拡大する。燃料タンク容量も新型ハイゼット トラックの方が4l多く、ガソリン満タンからの走行距離については新型ハイゼット トラックに優位性がある。
燃費が良好な新型ハイゼット トラックはエンジンの圧縮比が11.3で、キャリイのエンジンの11.0よりも高い。このためか、エンジン性能はキャリイの方が出力/トルクとも上回っている。
室内寸法は、シートスライド量は同じ140mmだが、室内幅は新型ハイゼット トラックが30mm広い。全高の高さによる効果も含めて、室内空間の広さは新型ハイゼット トラックが上回っている。
荷台寸法はほぼ差がない。唯一、荷台高についてはキャリイの方が5mm高い。荷台床面地上高は、キャリイが新型ハイゼット トラックよりも10mm低いので、荷物の積み降ろし作業がやりやすいといえるだろう。
税込み価格は新型ハイゼット トラックの方が2160円安いものの、ほぼ同じ価格帯である。ただし、エアコンと電動パワーステアリングを搭載しない2WD/5MTの最安モデルは、新型ハイゼット トラックが65万3400円、キャリイが68万4720円と、3万1320円の開きがある。
新型ハイゼット トラックとキャリイの大きな違いは、ボディカラーや装備パックといった選択肢の豊富さになるだろう。ボディカラーは、新型ハイゼット トラックの8色に対して、キャリイは3色。新型ハイゼット トラックは、キャリイで選べるホワイト、シルバー、ブルーの他に、オレンジ、ライトローズ、ミストブルー、カーキ、ブラックがある。装備パックも農業女子パックを含めて9種類を用意している。
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