鋼材が加工できる卓上CNCフライス、オリジナルマインドが60万円で発売メカ設計ニュース

主に個人向けに卓上加工機を開発/販売しているオリジナルマインドは、鋼材の加工が可能で、立体物の加工にも最適な卓上CNCフライス「KitMill AST200」を2014年夏に発売する。税込み価格は約60万円を予定。

» 2014年07月25日 19時00分 公開
[朴尚洙,MONOist]
「KitMill AST200」の加工デモの様子

 主に個人向けに卓上加工機を開発/販売しているオリジナルマインドは、鋼材の加工が可能で、立体物の加工にも最適な卓上CNCフライス「KitMill AST200」を2014年夏に発売する。税込み価格は約60万円を予定している。初年度販売目標台数は約30台。

 同社の「KitMillシリーズ」は、購入者が組み立てるキット式の卓上CNCフライスである。2011年以降、小型/低価格を特徴とする「KitMill BT100/200」、広い加工面積に対応する「KitMill RD300/420」、電子基板加工用の「KitMill CIP100」などを投入してきた。

 今回発表したKitMill AST200は、フレーム全体に鋳鉄を採用して従来品よりも高い機械剛性と減衰性を確保するとともに、モーターの出力をKitMill RD300/420の約3倍となる100Wまで向上。従来品だと難しかった、鋼材のような金属材料の切削加工が可能になった。また、垂直(Z軸)方向のストロークも、従来品が50〜60mmだったところを103mmまで広げた。これによって、立体物の加工も可能になったという。

「KitMill AST200」の加工デモの様子 2014年7月19日に東京・秋葉原で行った先行展示会では「KitMill AST200」の加工デモを披露した(クリックで拡大)

 加工速度も向上しており、切り込みが0.6mm、送り速度が225mm/分。「従来品の2〜2.5倍に達する」(オリジナルマインド)という。加工精度は、より大規模なCNCフライスとほぼ変わらない±0.1mmを実現した。送りねじを標準の台形ねじからオプションのボールねじに変更すると、さらに1桁高い加工精度も可能になるという。ただし、KitMill AST200はあくまで組み立てキットなので、「加工精度はユーザーの組み立て方による部分が大きい」(オリジナルマインド)としている。

「KitMill AST200」による加工例(クリックで拡大)
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「KitMill AST200」による球体の切削加工(両面)の様子(クリックすると再生) 出典:オリジナルマインド

 KitMill AST200の重量は67kgと、鋼材の加工と立体物の加工に対応するCNCフライスとしては極めて軽い。鋼材加工に対応する一般的なCNCフライスであれば、最も軽量の製品でも100kg以上になる。軽量化を実現できた理由の1つが、「しゅう動部に一般的に用いられるアリ溝に替えてリニアガイドを採用したこと」(同社)だという。

企業の研究開発担当者やメイカーズも対象

 これまでKitMillシリーズは、個人ユーザー向けを中心に総計1200台を販売してきた。オリジナルマインドは、今回のKitMill AST200について、「鋼材加工が可能で立体加工にも向いているなど、従来よりも幅広い用途で利用できる製品に仕上がった。個人ユーザーだけでなく、企業の研究開発担当者や、いわゆるメイカーズのような方々にも使っていただきたい」と述べている。

 同社は、神奈川県川崎市で2014年8月23〜24日に開催される「第21回かわさきロボット競技大会」にもKitMill AST200を出展する予定である。

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