ローランドDGは「第25回 設計・製造ソリューション展」において、開発を発表していたデスクトップ型の小型3Dプリンタと小型切削加工機を参考出品した。
ローランド ディー・ジー(以下、ローランドDG)は「第25回 設計・製造ソリューション展(DMS2014)」(2014年6月25〜27日、東京ビッグサイト)において、開発を発表していたデスクトップ型の小型3Dプリンタと小型切削加工機を参考出品した。同社がこれらの製品の稼働モデルを披露したのは、「西日本製造技術イノベーション2014」(2014年6月18〜20日、西日本総合展示場)に続いて国内では2回目となる。
同社では2014年5月14日に「小型3次元積層造形機(3Dプリンタ)」と「小型3次元切削加工機」の製品化について発表(関連記事:3Dプリンタに新規参入続々、オートデスクとローランドDG)。以前から同社の株主やユーザーの間でうわさにはなっていたため、今回披露した稼働モデルに注目が集まった。
DMS2014において参考出品されたのは、光造形方式の小型3Dプリンタ「ARM-10」と小型切削加工機「SRM-20」。「デスクトップサイズ・簡単操作・リーズナブルな価格」を開発コンセプトとし、専門知識の乏しい人でも簡単にモノづくりができる「デスクトップものづくり(デスクトップ・ファブリケーション)」の実現を目指すという。
発売予定日は2014年秋だとしているが、両モデルともに、既に実稼働できるようになっており「技術面での問題点はほぼクリアできている」(ローランドDG セールス総本部 国内営業部 国内マーケティング課 係長 錦見尚樹氏)。発売日が秋となっている理由について錦見氏は「主に営業・マーケティング面で詰めるべき課題がある。顧客や用途などをどこに絞るのかという点だ。その点を詰めることで、積層ピッチなどのスペックも変わる可能性がある」と話している。
ただ、大きなターゲットとしてBtoB用途であることは決まっており、現在低価格競争が過熱しているBtoC用途は考えていないという。メインは製造業の開発現場における試作用途となる。また価格帯についても詳細は決まっていないが「100万円は切りたい。切削加工機については3Dプリンタよりもさらに低価格になるだろう」(錦見氏)という。
3Dプリンタは大きな注目を集めており、参入メーカーも増加。競争が激しい環境におけるローランドDGの強みには何があるのだろうか。錦見氏は「まず切削加工機に取り組んで28年になり、長年モノづくり現場を支えてきたノウハウがある。またそこで築いてきた信頼も強みとなる」と話す。さらに「3Dプリンタと切削加工機を両方発売することが大きな強みだ」(錦見氏)と強調する。
切削加工機は高精度の加工ができるが、複雑な形状では加工できないものもある。一方で3Dプリンタは複雑な形状を造形できるが、使用できる素材が限られ、また形状を再現する精度に課題がある。そこでこの両方式の強みを組み合わせ、弱みをカバーすることで、より実機に近い試作が行えるというわけだ。
錦見氏は「同一メーカーで、切削と積層の汎用デジタル加工機をそろえているメーカーは世界であまり例がなく、これら2つの方式の得意なところを組み合わせることでモノづくりに新たな価値をもたらすことができる」と語っている。
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