パイオニアはホームAV機器子会社の株式を、一部を残してオンキヨ―およびベアリング・プライベート・エクイティ・アジアに売却することで基本合意した。オンキヨ―のホームAV事業と統合を進め、縮退するオーディオ市場での生き残りを目指す。なお「パイオニア」「オンキヨ―」の両ブランドについては継続する。
パイオニアは2014年6月24日、オンキヨーおよびベアリング・プライベート・エクイティ・アジア(以下、ベアリング社)に、ホームAV機器子会社の株式を売却することで基本合意したと発表した。縮退するオーディオ市場において、ホームAV機器の経営資源を両社で統合し、生き残り策を模索する方針だ。なお、売却後もパイオニアは「一定比率の株式は保持する」(同社広報)とし「パイオニア」「オンキヨ―」の両ブランドは維持していく。
今回同社が株式の売却を発表したパイオニアの100%子会社のパイオニアホームエレクトロニクス(PHE)は、AVアンプなどホームシアター製品、オーディオ関連製品の企画・製造販売を行うパイオニアの100%子会社だ。パイオニアの2014年3月期(2013年度)決算では、PHEを含むホームエレクトロニクス事業の売上高は1080億円、営業利益は1億円となっていたが、PHEそのものは赤字が続いており、再建への抜本的な対策が求められる状況となっていた。
そこでPHE株をベアリング社とオンキヨ―に売却。オンキヨ―のホームAV機器事業の機能の一部を統合することでコストを低減し、生き残りを図ることにした。PHEへの出資比率はベアリング社が51%とし、残りの49%をオンキヨ―とパイオニアが出資する。両社の比率についてはまだ決まっていないが、一定比率はパイオニアが保有するという。人員の異動や、PHE製品を生産していたマレーシア工場をどうするかは、未定だ。
なお、パイオニアのホームエレクトロニクス事業としてホームAV機器以外の、DJ機器やCATV用セットトップボックス、ヘッドフォン、光ディスクなどの事業については引き続きパイオニア内で存続させるという。また、スタジオ用などプロ向けスピーカーを扱う「TAD(Technical Audio Devices)」については、今回の売却には含まれない。中国の大手家電流通 蘇寧電器と行っている薄型テレビやホームシアターシステムのライセンスビジネスも今回の売却には含まれていないという。
パイオニアにとって、家庭用AV機器事業は創業以来のコア事業。オーディオ市場の全盛期には、サンスイ(山水)、トリオ(現ケンウッド)と並んで“オーディオ御三家”と呼ばれ、市場を席巻したこともあった。その後レーザーディスクの展開などを経て映像分野へ舵を切り、プラズマテレビ黎明期には高いシェアを獲得した。しかし、薄型テレビの普及とともに、競争が激化。高級AV機器分野での生き残りをかけて「KURO」ブランドを立ち上げたが、投資負担に耐え切れずにプラズマテレビは2009年に製造・販売を終了。当時は残したホームAV機器についても今回、再編することを決めた。今後は、主力の車載機器事業へ経営資源を集中させていく方針だ。
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