トヨタ自動車は、「人とくるまのテクノロジー展2014」において、次世代デバイスとして注目されるSiC(シリコンカーバイド)パワー半導体の開発成果を披露した。
トヨタ自動車は、「人とくるまのテクノロジー展2014」(2014年5月21〜23日、パシフィコ横浜)において、次世代デバイスとして注目されるSiC(シリコンカーバイド)パワー半導体の開発成果を披露した。
同社は同年5月20日、ハイブリッド車などのパワーコントロールユニット(PCU)の電力変換効率を向上できるSiCパワー半導体を発表している(関連記事:トヨタのハイブリッド車が燃費を10%向上、次世代パワー半導体の採用で)。その際に挙げた最終的な開発目標は、ハイブリッド車の燃費を10%向上することと、PCUのサイズを5分の1にすることだった。
トヨタ自動車の言うPCUとは、走行用モーターや発電機を駆動するためのインバータと、二次電池パックの電圧を昇圧してインバータに送ったり、電装品に電力を供給するために降圧したりするためのDC-DCコンバータを一体化したユニットである。今回、Si(シリコン)半導体を用いる現行のPCUとして展示したのは、中型ハイブリッドセダン「カムリ」のものだ。その横にあるSiCパワー半導体を用いたPCUは、最終的な開発目標を達成した際にカムリのPCUと比べて体積が5分の1になった状態をイメージしたモックアップである。
同社の説明員は、「長年SiCパワー半導体の開発を続けてきた中で、ついに採用に向けた本格的な評価が始まることは大変うれしい。コストがSiパワー半導体より1桁高いという課題はあるが、かつて2桁以上高コストだった時代から考えれば大きく進歩しており、今後もコスト削減する余地はある。われわれとしては、2020年には何らかの形で量産車に採用してもらえるように開発を進めたいと考えている。その時点での燃費向上効果は、現時点で試作車で確認した5%と、最終的な開発目標である10%の間になるのではないか」と述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.