また、2013年度にNECやパナソニックがスマートフォンから撤退(開発休止)し、ノキアが売却するなど、業界再編の動きが活発化している携帯電話端末事業についても「成長の余地が残されている」(山口氏)と話す(関連記事:NEC、スマホ事業“前向き”な撤退――脱“モノ”売りを加速、パナソニックが事業再編を拡大、プラズマとスマホに続きエアコンとデジカメも)。
競合各社が苦戦する中、京セラでは2013年度も少ないながらも利益(14億円)を確保。2014年度はグローバルで17%増の1400万台出荷とし、売上高も10%増を目指す。同事業の利益額は約5.8倍となる83億円を目標としている。
山口氏は「競合各社の環境が変化していると認識はしているが、京セラの場合はまだ国内、海外ともに成長の余地が残されている。国内はau向けは入っているが、NTTドコモ向けでは一部だけに留まっており、キャリアからの採用を広げていきたい。また以前より主力市場として注力してきた北米についてもメガキャリア(AT&T)に入っていないので、採用を狙っていく。その他、欧州や南米など新しい国に京セラらしい製品を提供していくことで、伸ばしていける」と自信を見せている。
実際に戦略製品である高耐久スマートフォン「トルク」は北米で展開した後、2014年3月から日本国内でも販売を開始。今後欧州や中国でも展開を広げていくという。またタイへのスマートフォンの提供など、グローバル展開を強化することで販売増を狙う方針だ。
一方、高い成長率を維持する携帯通信端末向け部品については、主要部品での大幅な増収を目指す。有機パッケージ/FCCSP(フリップチップ・チップスケールパッケージ)基板などは2014年度2.6倍の売上高を狙う他、コネクタやセラミックパッケージについても大幅な成長を狙う。有機パッケージは京都府綾部市に新工場を建設(関連記事:京セラSLCテクノロジーが京都で新工場の起工式を実施、2014年夏からFCCSP基板を生産)。生産能力を増強することで、成長を持続させる狙いだ。
また同様に生産能力増強への投資を進めるのが、事務機などの情報機器事業だ。グローバル展開を強化する中、新興国での普及拡大の波に乗り、成長を続けている。ベトナムでの新工場が2013年に本格稼働した他、2014年夏には三重県玉城町にカラートナーの新工場を建設し、市場の成長に合わせた生産能力の確保に努める。
その他、太陽光発電事業については、現在のパネルを中心とした展開から、HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)やBEMS(ビルエネルギーマネジメントシステム)などシステムとしての展開を強化する方針を示す。
山口氏は「各事業領域でのシェア拡大や売り上げ拡大だけでなく、今後は縦と横の事業連携の強化により総合力を発揮していく」と強調する。
京セラグループは素材・部品からデバイス・機器、システム・サービスまで垂直の統合できる要素を抱えている。そのため「これらの事業間連携を強化していくとともに、グループ内の開発・営業連携という、縦と横の連携を強化することで新たな価値を創出していく」と山口氏は語っている。
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