いよいよ今回、無償3次元CAD「Fusion 360」を使って本格的に3次元モデリングを進めていく。記事の最後で、イスの3次元モデルが“ほぼ完成”する!
前回は「Autodesk Fusion 360」(以下、「Fusion 360」)をインストールし、ミニチュア折りたたみイスの基本断面まで作成しました。今回は基本断面を3次元化していきます。図1のように、「着座部」「背もたれを含めた長脚部」「短脚部」の3部品で構成します。
今回、主に使う機能は、「MODIFY」メニューの「Extrude」(押出し)または「Press Pull」(押し引き)です。スケッチ内で複数曲線に囲まれた領域から3次元形状を作成します。作成時に、プレビューを見ながら押出し量を定義できます。このあたりの操作性も、他の最新3次元CADと同じです。
まず、簡単な短脚部から作成します。イスの完成形状を想定し、短脚部の外側に当たる平面を基準とします。「CONSTRUCT」メニューから「Offset Plane」(平行な平面)を選択してください。YZ平面から10mmの場所に作成します(図2)。
「BROWSER」の「Construction」フォルダ内に「Plane1」(平面1)が作成されます。
いま作成したPlane1に、「Basic Section」(イスの基準断面:前回作成したスケッチのある面)の曲線の幾つかを流用します。この場合、「SKETCH」メニューから「Project」(投影)を選択します。投影先の平面を選択し、その後投影したい曲線(複数可能)を選択します。図3の通りです。
投影すると、自動的にその平面にスケッチを作成し、そのスケッチを編集している状態(アクティブ)になります。投影に使ったBasic Sectionを非表示にします。BROWSERの「Sketches」フォルダから表示/非表示の切り替えができます(図4)。
短脚部のジョイント部を作成するため、図5の通り、短脚部外形の中心線と、基準の縦線との交点を中心にして、6mmの円を追加します。
ここから3次元形状を作り始めます。押し出しでも可能ですが、ここではMODIFYメニューのPress Pullを用います。囲まれた領域を全て選択し、図6の通りに、イスの形状を作成したい方向(完成形状から見ると、内側)に1.5mm押し出します。
作成後、BROWSERを確認してみましょう。「Bodies」フォルダに「Body1」が作成され、Sketchは自動的に非表示になり、「Extrude1」(押し出し1)フィーチャが一番下に作成されています。
自動的に非表示になったSketchを再表示し、Press Pullを使って図8のように、今作った形状の表面から0.5mm削ります(「-0.5mm」と入力)。
Press Pull方向を、ソリッド側に向けると形状を「Cut」(削減)し、外側の空間に向けると形状を「Join」(追加)するように振る舞います。ここでは「Cut」が自動で選ばれました。
このように、CutかJoinか、デフォルト設定では自動で決定されますが、自分の意図と違う場合は、「Operation」オプションで任意でいずれかを選ぶことも可能です。例えば、ソリッドのある内側方向に新規ボディを作成したい(追加したい)場合も切り替え可能です。
意図した形状になっているかどうか、作成後にBodiesフォルダ内のBody数が正しいか確認するのもよいでしょう。
次に、短脚部の反対側(内側)の面に、図9のように3カ所の円のスケッチを投影した後、Press Pullで0.5mm押し出します。今度はJoinが自動選択されました。
次に貫通穴(φ=3mm)を開けます。CREATEメニューから「Hole」(穴)機能を選択します。0.5mmの段になった円形の面を選択すると、中心点が自動選択できます。中心点を自動選択したら、穴のタイプ、径と深さを指定するだけです。深さは、φ3mmの穴が貫通できれば、数値はいくつでも構いません。この手順で、図10のように2カ所の穴を開けてください。
短脚部は、当然左右あります。そこで、2つの短脚をイスの下の方でつなぐための、細長い補助形状を作成します。図11のようにスケッチを定義し、Press PullでYZ平面まで延長(8.5mm)してください。既存のソリッドが邪魔な場合は、BROWSERを使用していったん非表示にします。領域を選択後、表示すれば、自動的にJoin可能になります。
これで短脚部の右半分が完成しました。対称となる左半分は、他の部品が完成してから作ります。
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