「第43回東京モーターショー2013」の併催イベント「SMART MOBILITY CITY 2013」では、注目を集める超小型モビリティが多数展示された。試乗体験コーナーに行列ができるなど盛り上がったが、普及に向けた課題も見えてきた。
「第43回東京モーターショー2013」(2013年11月20日〜12月1日、東京ビッグサイト)が成功裏に終了した。今回の累計入場者数は90万2800人と前回より約6万人増加とのこと。その中で、併設イベントとして注目を浴びていたのが、数多くの超小型モビリティを展示した「SMART MOBILITY CITY 2013」である。超小型モビリティは、1年ほど前から地方自治体と自動車メーカーが協力して実証試験を行うなど各地で活動が始まっているが、今回の併催イベントから見えてきた課題について迫りたい。
さて、連日にぎわいをみせた東京モーターショー2013だが、「CEATEC JAPAN 2013」や「第20回ITS世界会議東京2013」といった最新の自動車技術を紹介するイベントに続いて開催されたことも盛り上がりの一因になっていたかもしれない。
そんな最新の自動車技術に注目が集まる中、各地で実証試験を実施していたり、直前に発表されたところだったりというような超小型モビリティを一堂に会し、展示だけでなく試乗コースまで設定したことには意義がある。
SMART MOBILITY CITY 2013で話題をさらった超小型モビリティは、東京モーターショー2013の開催直前に発表されたホンダの超小型電気自動車(EV)「MC-β(ベータ)」だった。全長2495×全幅1280×全高1545mmの外形寸法は、軽自動車を一回り小さくしたようなサイズ感だ。運席左側にあるパーキングレバーを解除し、ボタン式シフトをドライブに入れて、アクセルを踏むと、「ウィーン」とモーターが起動し、ゆっくりと前進し始める。メーターの視認性も良く、フロントウィンドの視界も良い。ただ、やはり左右から風が入ってくるのと、ベルトラインが低く、開放感があり過ぎることに懸念を感じた。
日産自動車の超小型EV「New Mobility CONCEPT」も人気である。ホンダのMC-βよりややサイズは小さく全長2340×全幅1230×全高1450mm。ドアはガルウィング方式で、停車してドアを開けると、その外観はまるでセミを連想させる。こちらはホンダよりモーター定格出力が若干大きく8kWあるので加速性も優れている。
前回の「自動運転車やEVは都市計画にどのような影響を与えるのか」で紹介した通り、2013年10月11日から横浜市のみなとみらい地区において、New Mobility CONCEPTを活用したカーシェアリング社会システム実証実験「チョイモビ ヨコハマ」が開始されている。
それ以外にも、トヨタ車体の1人乗りEV「コムス」も試乗車として提供されており、大手自動車メーカー3社の超小型EVをそろって試乗できる点が見どころとなっていた。
またベンチャー企業のDURAX(U'eyes Design、Design&Realizations、D Artによる有限責任事業組合)は、車両前部が開閉し、乗り降りも車両前方から行う超小型モビリティ「D-Face」を展示して注目を浴びていた。EVと、小型ガソリンエンジンを搭載したレンジエクステンダーEVの両方式を検討中とのこと。非常にユニークなコンセプトであるだけに、今後定まる超小型モビリティの法規で、どこまでオリジナリティが出せるか要注目である。
それ以外に、電動三輪車、いわゆる「トライク」も複数展示されていた。電動三輪車は、かつてオート三輪車と呼ばれていた車両を電動化したものである。筐体を付けて乗員が座れるようになっているが、やはり二輪車の延長上にあり、窓部にガラスは設置せず開放している。
テラモーターズは、フィリピンで電動三輪車の量産化を目指しており、現地仕様の車両を展示していた(関連記事:アジアを大気汚染から救うEV3輪タクシー、電動バイクベンチャーが新市場に挑む)。日本向けも検討中とのことだが、超小型モビリティの法制度が固まっていないのもあって、今後の動向を見極めながら結論を出すとしている。
同じく、フィリピンのセブ島周辺部で電動三輪車の市場投入を開始したプロッツァも、現地仕様の車両を展示した。満充電から走行距離が約40kmと短いため、電池パック交換ステーションを準備することでドライバーとユーザーの利便性を向上させる点が特徴的だ。
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