超小型モビリティの導入には以下のような利点があるとされている。
これだけ多くの車両が開発されており、今後は量産投入が始まるのであれば、「さぞかし超小型モビリティの将来は明るいのではないか」と思われるだろう。そこで、各社の展示担当者に実際に先行きを聞いてみたが、どうも顔が曇りがちなのである。
主たる理由は、超小型モビリティという車両区分がいまだ中途半端な位置付けにあり、はっきりしていないところにある。
筆者自身が幾つかの車両を試乗したところ、超小型モビリティには以下のような課題があるように感じた。
車両の衝突安全性
このような小さな車両になると、どこまで衝突安全性が担保されているのか気になるところである。自然公園や観光地など閉鎖された敷地内で走行するのであれば問題ない。しかし超小型モビリティは、高速道路を除いて公道を走れることになっている。国道やバイパス道路のように、トラックやバスが混在してかなりのスピードで走行するエリアでは、超小型モビリティの受容性をよく確認する必要がある。
車両として少しパワー不足では?
例えば、ホンダの「MC-β」は、走行モーターの定格出力が6kWである。実証実験などで超小型モビリティを運用する際の認証制度では、定格出力8kW以下が条件になっているようだ。一方、法制度上は超小型モビリティと同じ軽自動車に属する三菱自動車のEV「i-MiEV」の定格出力は30kWである。必ずしも比較する必要はないかもしれないが、実際に試乗した感触からは、超小型モビリティのパワーが不足しており、公道でクルマの流れに乗るのは難しいのではないか、という印象を持った。
ドアにガラスが付いていない
フロントガラスの結露を防止するデフロスター機能を有していない車両は、クローズドドアを装備できないようである。しかしこれだと、冬はとても寒くて走れない。特に、高齢者や子どもを同乗させたい方にはつらいのではないだろうか。また、降雨時はそのまま車室内に雨が入ってきてしまい走行どころではなくなる。最近では、ゲリラ豪雨に代表されるように、いつどのような勢いで雨が降るか分からないことを考えると、対応に苦慮することもあり得る。ビニールシートのようなもので側面を覆うことができる仕様もあるようだが、これも運転時の視界が悪くなるという課題がある。
冷暖房を装備できない
車両サイズは最大で軽自動車規格まで許されているにもかかわらず、冷暖房を装備していないことはユーザーから見て不便に思えるのではないだろうか。電池容量、車両価格、レイアウト、上記クローズドドアの問題なども考慮すると、冷暖房がないのもやむなしとなるのであろう。しかし、冷暖房のないクルマがどこまで受け入れられるのか、今後よく確認すべきだろう。
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