それでは「技術者向けのコミュニケプレゼン」の本題に入ります。ところで、コミュニケプレゼンに関する書籍やセミナーは数多く存在します。どれもが有効な内容と思います。しかし、ほとんどが以下に示す分野をターゲットとしたコミュニケプレゼンの内容となっています。
技術系のコミュニケプレゼンの書籍やセミナーが見当たりません。これでは、いきなり「構想設計」、いきなり「製図」と同じです。新人設計者にはその年齢や企業での役割にふさわしい「技術系コミュニケプレゼン」のカリキュラムが必要です。
技術系のコミュニケプレゼンスキルの欠如は、特に、設計審査の雰囲気分かります。それは“お通夜状態の設計審査”、つまり無言の設計審査です。
オイ、良君! 意外だよなぁ。教育熱心な日本国だがよぉ、技術者向けのコミュニケプレゼンのセミナーや書籍がないとは信じ難いぜぃ!
それでも、“お通夜状態の設計審査”の方がマシですよ。うちの会社なんか、部長も課長も、まず「設計審査ってなんだ?」っていう状態ですから。これでISO 9001を取得済みっておかしいと思いません?
ホントひどい会社! 今度、営業担当に相談して、契約打ち切ろうかしら……。大体、3次元CADを、単なる“お絵描き道具”扱いする設計者も本当に多すぎるんですよ。図面は描けないわ、読めないわ。CAE技術者だってねぇ……。
ムウッ! チョット、ちょっと……エリカちゃん。それは言いすぎだよ!
国木田さんだって、あんなダメ会社、とっとと転職するべきじゃないですか? このままじゃ、全くパワーアップできないですよ。ダメ人間に埋もれて、お・し・ま・い!! そんな人生、悲しくないんですか!! 終わりですよね! どーなんですかっ!
どっ、ドッ……どうしたぁ? お前さん、そんなキャラだったかぁ?
……本来の“エリカさま”に戻っただけですから、甚さん。
はぁ? “本来の”ってどういう意味ですか!!
あ、いや、あの……。
エリカちゃんは、今の職場への不満が結構たまってきているようです……。
筆者は設計コンサルタントとして生計を立てていますが、当事務所のクライアント企業の多くで、次のような問題が散見されます。
技術者としての必須の前記アイテムが、ほとんど実施されていません。その結果、「丸投げの業務」「静か過ぎる居室」「お通夜の設計審査」になっているのです。
それでは、どうすれば良いのでしょうか?
私は、そんな会社に派遣されるのなんて、もうまっぴらです。甚さん、早く説明してください!
お、おう……、……エリカさま。
図2は、当事務所のクライアント企業の協力を得て集計した「技術者におけるコミュニケプレゼンの悩み」の分析です。
なんてこった! 「理解されたか不明」「何が言いたいの?」「何度も聞き返される」の3項目が8割弱も占めているなんて。
これではコミュニケーションを取れないですよね。まるで、うちの職場ですね。
うーむ、確かに。「D」なんて、そのままです。うちの課長と同じで、部下を呼んでおいて、PCの画面を見たまま、振り向こうともしませんよ。
私のすぐ近くの座っているAさん(設計者)も、私にメール“だけ”で仕事の要件や連絡事項を伝えきますよ。振り向けばすぐ話ができる距離なのに……。
うーん、それはさすがに僕でもやらないな。さっきも言ったけど、僕のやっているCAEの仕事は、技量はもちろん必要だけど、それよりも求められている力量がコミュニケプレゼンなんだ。
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