MONOist 渋滞情報以外に、ユーザーから収集したプローブ情報はどのようなサービスに活用されているのか。
鎌田氏 当社は、プローブ情報を活用してカーナビの新たなサービスを生み出すための取り組みを進めている。その最新の事例となるのが、サイバーナビの2013年モデルに搭載した新機能「スマートループ アイ」だ。
サイバーナビの2011年モデルに搭載した新機能に「クルーズスカウター」がある。クルーズスカウターでは、車載カメラで車両前方の映像を撮影し、その映像から信号や車線、速度標識、前方車両との車間距離、前方車両の発進などを検出できる。
実は、このクルーズスカウターで得られる情報についても蓄積型プローブとして収集していた。そして、クルーズスカウターで得られる車間距離に加えて、地点情報や速度データなどの統計から、交通量の多い交差点やインターチェンジ、ジャンクション、人気施設の駐車場入り口付近など、渋滞しやすい地点が分かってきた。
サイバーナビの2013年モデルでは、この渋滞しやすい地点5000件を「スマートループ アイ スポット」としてリストアップし、クルーズスカウターを搭載する車両がそれらの地点を通った際に撮影した写真データを共有できるようにした。これがスマートループ アイだ。写真データなので、その地点の車線ごとの渋滞状況が一目瞭然になる。
MONOist この写真データもプローブ情報になるのか。
鎌田氏 われわれは、スマートループ アイ スポットの周辺で、クルーズスカウターで撮影した写真データを「カメラプローブ」と呼んでいる。現在、カメラプローブは、リアルタイムプローブと併せて収集している。
これまで、蓄積型プローブは情報量が多いものの即時性に欠け、リアルタイムプローブは即時性に優れるものの走行履歴データしか情報が得られないというように、一長一短があった。カメラプローブは、写真データなのでかなりの情報量が詰まっているし、リアルタイムプローブと併せて収集していることを考えれば即時性も高い。カメラプローブの写真データを画像解析すれば、さらに新しいサービスを生み出せるのではないかと考えている。
また、GPSデータに加えて車速パルスなどから正確な位置情報を得た上で写真を撮影するカメラプローブは、サイバーナビに代表されるインダッシュ型のカーナビでなければ実現できない。PND(Personal Navigation Device)やスマートフォンと比べた場合の、パイオニアのカーナビの差異化ポイントにもなるだろう。
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