一般的に、リフロー後のフローでは設計上マスク(パレット)を使用する場合が多くあるが、市版のマスクは耐熱性を重視しているために熱伝動が悪く、かつ切り込みが深くなっているために、はんだの流れが乱れ、ブリッジが発生しやすくなっていることから、マスクの材質と開口部の加工を見直す必要がある(写真8)。
写真9は、マスクの材質と厚い形状によって、リードに熱が十分供給できず、ブリッジを起しやすい上、マスクの淵にあたったはんだの戻りでフラックス効果が失われている。このような個所ではフィレットが厚くなり異形やブリッジになりやすく、特にパターンのつながっているホールでは完全な熱不足現象が起こりやすい。マスク設計時には特に注意が必要である。
特にフロー関連では、現場が状況解析してメーカー(装置、マスクメーカーなど)に改善などの要求を出すことはほとんどなく、与えられた条件下でしか検討していない。そして、メーカーとしても使う方からの意向がないことから、構図的にが一方的な押し付け状態になってしまっているようである。
フロー槽も従来の鉛はんだ同様、基板搬送角度が3°以下であればほとんどの問題を改善することができる。装置や道具は与えられたまま使用するのではなく、使いこなしてはじめてその価値が出る。同様に現場にすぐ実験できるような基板や部品が無駄な在庫をもたないという理由で準備されていないのでは、現場の改善能力を活用する気がないのと同じである。
ちなみに、富山市の小さな工場(MN-TEC)では、自作のマスクによってフローの不良をなくしたり、通常無理といわれてきた基板をフローではんだ付けしている(同社では、一部依頼を受けて、マスクを外部へも提供している)。また薄いFPCにミクロのバンプをフローはんだで形成している。適切な冶具(マスク)を活用することによって、不可能と思われるレベルのはんだ付けもフローで行っている。
写真10、写真11は、スル―ホール部分のみフローではんだ付けしている。通常は手作業になるが、ブリッジやはんだボールが発生した場合リードが長く、修正ができない部品である。
早くから海外に進出した工場では、初期の技術情報は伝わっているが、その後の変更や新しい技術情報が十分伝わっていない。同様に、海外の大手工場も企画一辺倒のものつくりになっている。中小の工場ではわずかな技術差が利益に影響するものである。
京都府は中小企業の技術力の向上支援に努めて、今年で50周年を迎えている。実装技術研究会では最近は県外からの参加社が増えている。学実的な内容から各種の規格や現場技術および工場見学等年間を通して、参加社の希望に合わせたプログラムを組み、実践的な取り組みを多く予定している。
京都府中小企業技術センター企画連携課開催の、2012年6月26日のオープンセミナーの参加者は、県内外から80名以上が参加した。
カーナビメーカーの技術者を講師に招き、ppm2以下の実装現場の取り組みを紹介していただいた。また、2012年8月28日のスキルアップセミナーも50名を超す盛況であった。次回は2012年10月25日に中級編を予定している。
最近は県外からも参加社が増えている。また、関東では、筆者も2012年12月21日に(株)情報機構のセミナーを行う。動画や静止画を多用し、初心者や海外工場の管理者向けに、現場解析方法を分かりやすく説明する予定である。
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