これだけは知っておきたい! 「マーケティングって何?」(後編)目指せT字型人材! 中小企業エンジニアのスキルアップ(3)(3/3 ページ)

» 2013年02月20日 10時00分 公開
[小山新太/MPA所属 中小企業診断士,MONOist]
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 プロモーション・ミックスを効果的に行うためには、購買者の心理状態を把握することが必要ですが、人間の購買行動プロセスを表した理論に「AIDMA(アイドマ)」の法則があります。これは、人間が購買に至るには、製品に注目し(Attention)、興味を抱き(Interest)、欲しくなり(Desire)、記憶に留めておいて(Memory)、購入する(Action)という一連のプロセスをたどること示したもので、各頭文字を取って「AIDMA(アイドマ)」と呼ばれています。

図3 AIDMA(アイドマ)の法則:フィリップ・コトラー著「コトラーのマーケティング・マネジメント ミレニアム版」を基に筆者が作成

 このAIDMAの法則を活用することで、自社のプロモーション・ミックスの目的設定および検証がしやすくなります。例えば、新製品を発売する場合を考えてみましょう。新製品ということは、その存在を知る人はほとんどいませんので購買者は「認知段階」にあります。そのため、販売促進や人的販売よりも広告・パブリシティに注力を入れたプロモーション・ミックスを行うことが効果的といえます。

 また、店頭での反応が良くリピート率は高いのにもかかわらず、売り上げが伸びないといった場合、購入者への認知不足による可能性が高いのです。その認知を高めるためには、広告やパブリシティに注力することが効果的です。

 次に「情動段階」ではどうでしょうか? 例えば、製品の認知度が十分あるのにもかかわらず売り上げが伸びないといった場合には、「この製品が欲しい!」という欲求を高める必要があります。そのためには製品の品質や利便性などの特長を積極的に訴求する必要があります。それには、製品の優位性を訴求するような広告の内容に変更したり、他社製品との性能を比較したカタログを作成したりなどのプロモーションを実施すると効果的です。

 最後は「行動段階」です。この段階で効果を発揮するのが販売促進や人的販売です。「迷っていたけど、いつもよりも10%オフだから買うことにした」「店員さんの接客が丁寧だったので買うことにした」などといった経験が皆さんにもあると思います。逆を言えば、行動段階に問題があるのに、広告に注力したプロモーションを実施することは望ましくないということです。

 このように購買者の心理プロセスを時系列で考えることで、「何に注力してプロモーションするべきか」や「プロモーションの何が悪いのか」といったことが見えてくるのです。

 これまで2回にわたってマーケティングのイロハについて話を進めてきましたが、いかがだったでしょうか? セグメンテーションとターゲティングで「誰に対して」を決め、ポジショニングで「どんな価値を提供すべきか」を考え、4P理論で「どのようにアプローチするか」といったことを解説しました。つまり、「利益を出すための仕組みを考える」ということは「誰に(who)、何を(what)、どうする(how)」について考えることなのです。今回紹介した内容は、マーケティング理論の中でも基本的な内容になります。このイロハが読者の皆さんの新たな気付きにつながればうれしい限りです。

 次回は筆者をバトンタッチして「コミュニケーション術」について解説する予定です。

Profile

小山新太(こやまあらた)

MPA所属 中小企業診断士。販売促進やマーケティング、コミュニケーションスキルを専門とし、中小企業支援やセミナー講師などを行っている。



MPAについて

「MPA」は総勢70人以上の中小企業診断士の集団です。MPAとは、Mission(使命感を持って)・Passion(情熱的に)・Action(行動する)の頭文字を取ったもので、理念をそのまま名称にしています。「中小零細企業を元気にする!」という強い使命感を持ったメンバーが、中小零細企業とその社長、社員のために情熱を持って接し、しっかりコミュニケーションを取りながら実際に行動しています。

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