京都マイクロコンピュータは、同社のJTAG-ICE「PARTNER-Jet」をZynq-7000搭載の東京エレクトロン デバイス製「TB-7Z-020-EMC」に接続した環境を用い、PTM(Program Trace Macrocell)リアルタイムトレースのデモを実演していた。
通常、PARTNER-Jetを接続するには、ボード側に専用コネクタ(Mictor 38ピン)が必要だが、現時点で、Zynq-7000搭載の評価ボードで接続できるものは「TB-7Z-020-EMC」だけ。PARTNER-JetとTB-7Z-020-EMCの組み合わせでは、ARMのETM(Embedded Trace Macrocell)トレースも利用可能なため、実行してきた命令をさかのぼって復元できる。メモリを多く搭載しているPARTNER-Jetの上位モデルであれば、5〜10秒ほどの時間をさかのぼってどんな命令が実行されたかを表示可能だという。また、同社の「QProbe」という動的解析ツールを利用することで、指定した関数がどのタイミングで呼び出されたかや、関数単位でどこの負荷が一番高いかなどを表示できるので、“負荷の高い部分をFPGAでハードウェア化する”といった検討が容易に行えるとしている。
ベリフィケーションテクノロジーは、デバイス内蔵型検証IP「VARON」をデモしていた。
VARONは、テストデバイスの中にIPとして組み入れて、バスのパフォーマンスモニタリングや負荷を加えた検証などが行えるというもの。性能検証と論理検証のどちらにも対応する製品だ。試験対象の回路とは完全に独立しているので、試験対象に(意図して負荷を与えるとき以外は)全く影響を与えないという。「以前からデバイス内蔵型の検証ツールは構想されており、回路を入れてモニタリングしていたユーザーはいた。しかし、解析ツールも含めてやっているところはなかった。そういう意味で“世界初”の製品だ」と説明員は語る。
ザイロン・ジャパンは、3D/2DアクセラレーターのIPコア「logicBRICKS」に関する展示デモを披露していた。
Zynqには、比較的高性能なARMコア(ARM Cortex-A9 MPCore)が組み込まれているが、3D処理は大きな負荷が掛かるため、うまく再生できないといったケースもある。logicBRICKSを用いたデモ環境では、OpenGL ESハードウェアアクセラレーションにより、非常にスムーズな3D画像の動きを再現していた。また、2Dに関しても200匹のペンギンの画像を毎秒60フレームで動かすというデモを実演。これもソフトウェアでは格段に処理が遅くなってしまうが、ハードウェアアクセラレーションによって高速表示を実現し、さらにバックグラウンドでネットワーク経由のカメラ入力処理もこなしていた。
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