プチコンの開発元であるスマイルブームのオフィスには、「なぜそこにあるのか分からないモノ(!?)」がしばしばあるのですが、1989年発売のホームコンピュータ「FS-A1WSX」まで置いてあるからアラ不思議。
FS-A1WSXは、パナソニック(松下電器産業)製の「MSX2+」規格のマシンです。初級者のホビー用途という性質が強かったMSXシリーズですが、外部記憶媒体にフロッピーディスクを採用し(MSX2でも採用)、漢字フォントを標準搭載したMSX2+は当時としては“中級者向け”という位置付けだったといえるでしょうか。さまざまなハードウェアが百花繚乱したこの時期のマシンの評価は、今もって難しいところですが、「当時」を知るための1つのサンプルにはなるでしょう。
というわけで、グラフィックス命令を使った簡単なベンチマークテストをしてみました。こうして並べてみると、プチコンと当時のBASICとの違い、そして、意外と違いが少ないことも分かりますね。
GCLS ST=MAINCNTL FOR I=0 TO 100 X=RND(256) Y=RND(192) C=RND(16) GFILL X,Y,X+50,Y+50,C NEXT I EN=MAINCNTL PRINT (EN-ST)/60
ソースコード2 こちらは「プチコン」用 |
10 DEFINT I,X,Y,C 20 SCREEN 5 30 ST=TIME 40 FOR I=0 TO 100 50 X=RND(1)*256 60 Y=RND(1)*192 70 C=RND(1)*16 80 LINE(X,Y)-(X+50,Y+50),C,BF 90 NEXT I 100 EN=TIME 110 SCREEN 0 120 PRINT (EN-ST)/60
ソースコード3 こちらは「MSX2+」用 |
ソースコード2、3は、100枚の50×50ピクセルの四角形(塗りつぶし)を、ランダムな位置に、ランダムな色で描画するプログラムです。システム変数「MAINCNTL(MSXではTIME)」は、起動時からの経過フレーム時間(1秒60フレーム)です。ループ開始時と終了時のMAINCNTLの差を取って60で割れば、何秒間かかったかが分かる仕組みなのは言うまでもないでしょう。
結果はMSX2+が約6.82秒、プチコンが約0.017秒となりました(早っ! プチコン思ってた以上に早っ!)。
おおぅ……、おおぅ……。
まあまあ、ハカセ。感動は分かるけど何も泣かなくても……。
ヌシら、MSXを引き合いにプチコンを誉めまくってそれで満足か! ワシらの夢の結晶であったMSXを侮辱しおって! ぐぬぅぅぅっ〜。
へっ、そっち?
あの、ハカセ。そういう話ではなく、現在と当時の体感速度の違いを知りたいという……。
そりゃー、今と比べると遅いかもしれん! じゃがな……、あ、あれは、あれは、ワシが貯金をためて買った……! ぐぬぅぅぅっ〜。
う、ウゼエ……。
あいかわらず昔と今のどっちにふれてもウゼエ……。
ちなみに、ランダム要素を排除して、ひたすら画面全体を塗りつぶし続けるテストではMSX2+が約30.31秒、プチコンが約0.2秒でした。塗りつぶし範囲が大きいとそれだけ時間がかかるのは同じですが、やはりMSX2+の分が悪そうですね。
う、うおお……。「V9958」の実力にはまだまだ伸びしろが……。よ、よしっ! まずは直接VRAMにだな……ハァハァ。
それじゃ、BASICのテストにならねえじゃねェか!
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