設計ソリューションの必須技術を網羅する展示会「EDS Fair 2012」がパシフィコ横浜で開催。「バーチャル・プロトタイプ」や「ESL」など最新の開発環境が紹介された。
EDS Fair 2012(Electronic Design and Solution Fair 2012)が2012年11月14〜16日の3日間、横浜・みなとみらいのパシフィコ横浜で開催された。同イベントは「Software to Siliconの大海へ」乗り出す開発者に対して、「海図と羅針盤」となる開発環境を提供していくことが大きな目的となっている。会場では「バーチャル・プロトタイプ」や「ESL」などをキーワードにした最新の開発環境が示された。
日本シノプシスは、半導体の設計および製造に用いられるさまざまなEDAツールを統合して提供する。その中でも、バーチャル・プロトタイピング・ソリューション「Virtualizer」(画像1)などが来場者の注目を集めていた。
バーチャル・プロトタイプは、開発対象のシステムをソフトウェア・モデルで表現したもの。このモデルを事前に準備することで、ハードウェア(実機)が完成する前から、ソフトウェアの開発・検証を行うことができる。最終的にシステムの開発期間を大幅に短縮することができる。
「Virtualizerは、既に国内でも複数の自動車メーカーやモバイル端末メーカーに導入され、モータ制御など複雑な電子回路設計を効率よく開発するために活用されている」(説明員)という。そして、「ARMやMIPS、PowerPC、SH、V850、Tensilicaといった主要なプロセッサ・アーキテクチャや、PCI Expressに代表される各種インタフェースIPなどのモデル・ライブラリを豊富に用意しているのが当社の強みの1つ」と続けた。
車載機器やモバイル端末などに搭載される電子回路は、高速処理と低消費電力を両立させるため、プロセッサのメニコア化やハードウェアによる並列処理方式への移行が進む。こうした動きに伴って、ハードウェアの検証やソフトウェアの開発が複雑化し、設計者にかかる負荷は急激に増えている。最新の電子回路設計を、ハードウェアとソフトウェアを独立して開発していた旧来の開発手法で行った場合、設計期間は8〜20カ月も増加する。バーチャル・プロトタイプの開発手法を導入すると、旧来方式に比べて開発期間は最大で6カ月短縮できる、との試算もある。
Virtualizerの最新バージョンでは、モデル・オーサリング機能の強化などを行った。これにより、システムレベル・モデルの作成時間をこれまでより3倍速くすることができるという。
日本シノプシスは、バーチャル・プロトタイプとFPGAベース・ハードウェア・プロトタイプを統合した「ハイブリッド・プロトタイピング・ソリューション」も会場で提案した。ソフトウェア・モデルの一部をFPGA上に実装することで、より実機に近い実行スピードでソフトウェアを検証することが可能となる。今回は、FPGAベース・ハードウェア・プロトタイピング・ソリューションの新製品「HAPS-70」(写真2)を展示した。この、プロトタイピング・システムにはザイリンクスの最新FPGA「Virtex-7」が搭載されており、最大1億4400万ゲートまで実装することが可能となっている。システム性能も従来品に比べて最大3倍向上させた。
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