マツダは、i-ELOOPと、ビルディングブロック戦略の第1段階に当たるアイドルストップシステム「i-stop」との組み合わせで、約10%の燃費向上効果が得られるとしていた。ただし、電気二重層キャパシタの容量や、電気二重層キャパシタに蓄積した電力で電装品をどの程度動かしていられるのかといった情報は公開されていなかった。
新型アテンザの発表会に登壇した、マツダの商品本部で新型アテンザの開発担当主査を務める梶山浩氏は、「i-ELOOPは、減速時に7〜10秒充電すると電気二重層キャパシタが満充電になる。この電力を使って、電装品を60〜80秒の間動作させられる」と説明した。
新型アテンザは鉛電池も搭載しているので、電気二重層キャパシタの電力がなくなれば、鉛電池の電力を使う。鉛電池の電力も不足するようであれば、従来と同様にエンジンの動力を使ってオルタネータで発電することになる。この2つの蓄電デバイスを活用する「デュアルストレージ制御」によって、鉛電池の劣化も抑制できるという。
i-ELOOPに搭載された電気二重層キャパシタの総容量は25kJ(キロジュール)。二次電池の容量を示すのに用いるWh(ワット時)に換算すると6.94Whとなる。トヨタ自動車のハイブリッド車「プリウス」が搭載するニッケル水素電池の容量1.3kWhの0.5%程度にすぎない。
これは、電気二重層キャパシタが、減速エネルギーを効率よく回収する上で重視される入出力密度が二次電池の10倍以上となる10kW/kg以上と極めて高いのに対して、電気自動車のように大容量の電力を蓄電する際に重視されるエネルギー密度はリチウムイオン電池の数十分の1にとどまるためだ。
ただし、数千回程度の充放電サイクルで容量が劣化してしまう二次電池と比べて、充放電サイクルが100万回以上になっても容量が劣化しないという特性がある。この特性は、メンテナンス面で有利に働くとみられる。
さらに、主要材料が植物由来の活性炭であり、重金属や貴金属を使用しないため、環境負荷が小さいこともメリットになる。使用温度範囲も−30〜70℃と、二次電池よりも幅広いため、設置場所の制約も少ない。実際に新型アテンザでは、高温になりにくい外縁部とはいえエンジンルーム内に設置されている。
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