トヨタ自動車と豊田通商は、自動車工場の排熱を利用して、環境負荷を削減しながらパプリカを生産できる農場を新設する。また、トヨタ自動車の自動車製造のノウハウを、農業の生産性向上に生かしていく方針も打ち出した。
トヨタ自動車と豊田通商は2012年4月16日、トヨタ自動車の製造子会社であるセントラル自動車(宮城県大衡村)の隣接地にパプリカ農場を新設すると発表した。同農場は、セントラル自動車の自家発電設備の廃熱を利用することにより、冬場のビニールハウスの温度維持に必要となる燃料や電力を減らすなど、環境負荷を削減しながらパプリカを生産することができる。
同農場の建設は、トヨタグループなどが宮城県大衡村の第二仙台北部工業団地で提案している、「工業団地を中心とした新しいスマートコミュニティ」の実現に向けた「F-グリッド構想」を基にした農商工連携プロジェクトの一環となっている。同プロジェクトでは、トヨタ自動車が自動車の開発や製造で培ったモノづくりのノウハウや技術を応用して、農業の生産性や競争力を向上させるためのアイデアを考案していく予定である。
なお、パプリカ農場を新設するのは、豊田通商傘下の農業生産法人であるベジ・ドリーム栗原である。同社は既に、宮城県栗原市内にパプリカ農場を2か所運営しており、今回が3カ所目(第3農場)となる。第3農場の用地面積は約3ヘクタール(栽培面積は約1.8ヘクタール)で、大型の鉄骨ビニールハウスを建設する。パプリカの生産量は約315トン。2013年1月に完成する予定だ。
第3農場では、セントラル自動車の自家発電設備(発電効率49%のガスエンジンコジェネレーションシステム)から発生する廃熱を、温水として蓄熱タンクに貯める。貯めた熱は、主に冬場のビニールハウス内の夜間暖房に使用する。蓄熱タンクは、天井に三重カーテン、側面に多重ポリカーボネイトと側面カーテンを設置して、放熱による熱損失を極力減らせるようにする。また、セントラル自動車の自動車工場と第3農場のエネルギー管理を一体化することにより、さらなる二酸化炭素排出量の削減が可能になるという。
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