ファイルの上下相互換も一部実現。 コラボレーション促進を――SolidWorks 2013【海外取材】ベンダーイベント潜入レポ(1/2 ページ)

2012年2月、米国カリフォルニア州サンディエゴで開催した「SolidWorks World 2012」で、3次元設計ツールの新製品「SolidWorks 2013」の新機能が明らかになった。

» 2012年03月15日 13時50分 公開
[加藤まどみ,@IT MONOist]

 3次元設計ツール新製品「SolidWorks 2013」に搭載される予定の新機能が、米ダッソー・システムズ・ソリッドワークス(以下、ソリッドワークス)主催のイベント「SolidWorks World 2012」(会期は現地時間で2012年2月13〜15日、米国カリフォルニア州サンディエゴ)で発表された。

 本イベントに参加した同社関係者からは、ユーザーからの要望をくみ取る仕組みや、同社が開発中の次世代製品などについても聞けた。

 SolidWorks 2013で新たに実装される予定の機能として紹介されたのは25項目。さらに各機能を「設計」「コラボレーション」「パフォーマンス・生産性」の3分野に分類。

図1 「SolidWorks World 2012」の会場

 今回のバージョンアップでは特に「コラボレーション」を重視したという。発表中、クローズアップされた機能は、「ファイルの相互換性」「サーフェスなどの合成加工の簡略化」「部分解析」である。

2012と2013には相互換性あり

 SolidWorks 2013は、同2012のファイルフォーマットと相互換性を持たせた(図2)。

図2 SolidWorks 2013のデータを2012で編集、さらに2013で読み込んで編集する

 ファイルの相互換機能については従来より要望が多かった。これまでは、同社の親会社 ダッソー・システムズの「CATIA V6」と「CATIA V5」が相互換機能を提供予定であることを発表しているのみだった。従来のSolidWorksは、旧バージョンのファイルを新バージョンで閲覧・編集可能な下位互換のみだった。

 SolidWorks 2013で作成されたファイルは同 2012でも閲覧・編集可能な上位互換機能を持つ。

 ただし相互換性は完全ではなく、形状やアセンブリ、アノテーション、カスタムプロパティなどの情報は見られるものの、フィーチャ履歴を編集することは不可とのことだ。

 アセンブリについては、両バージョン間で、なるべく“正しい振る舞い”が得られるようにしているという。旧バージョンで編集をした後、新バージョンに戻れば、旧バージョンでは制限されていた情報の閲覧や編集が再び可能になる。

 「SolidWorks 2012でファイルを開いている間、見られないデータは凍結された状態になる。SolidWorks 2013に戻れば再度、全て閲覧・編集が可能になる」(米ソリッドワークス プロダクト デフィニション ディレクタのブルース・ホールウェイ氏)。

 互換性を持たせる理由として、同じプロジェクトを進める部署や企業間でアップグレードのタイミングを合わせるのが“ほぼ不可能”であることが挙げられる。そこでSolidWorks 2013では、少なくとも1つ前のバージョン(同 2012)とは相互換機能を提供するとした。ただし、それ以前のバージョンとの相互換性はない。

 「バージョンをさかのぼるほどバグが増えるため、顧客が混乱するだろう」(米ダッソー・システムズ・ソリッドワークス 副社長兼プロダクトマネージメント ディレクタのフィルダー・ヒス氏)。

「それぞれの担当者がバージョンアップの時期に煩わされず、設計作業に専念できる」(ホールウェイ氏)。

サーフェスなどの合成加工の簡略化

 SolidWorks 2013のモデリング機能の目玉が、「サーフェス交差(Surface Intersect)」だ(図3)。

図3 モデリングにおける「Surface Intersect(サーフェス交差)」機能

 複数のサーフェスもしくはソリッドを重ね合わせ、干渉するラインで合成する機能である。

 従来も形状の合成機能はあったが、ユーザーの細かい要求には対応できなかった。そのためユーザーが思い通りの形状をモデリングするには、コマンド入力を繰り返す必要があり、手間が掛かっていた。この機能によって、よりシンプルな操作で、設計者の意図する形状を自由に作成可能になるとしている。

部分解析

 解析においては、「サブモデル解析(Simulation Sub Modeling)」と呼ばれる、「アセンブリの一部分だけを選択し、解析する」機能が紹介された(図4)。

図4 部分のみを解析できるサブモデル解析の様子

 複雑なアセンブリを扱う場合に、解析に不必要な部分を対象から省くことで、解析時間を大幅に短縮できるとしている。線形・非線形両方の解析に対応するとのこと。

「SolidWorksを使うユーザーの設計する製品の多くは形状が複雑。このサブモデル解析では、応力が大きい場所など、設計者が特に関心のある領域のみにフォーカスして、より精度の高い解析が可能となる」(ヒス氏)。

「サブモデル解析によって、設計で重要部分にさらに詳細な解析が可能で、解析精度向上が期待できる。設計において、まさに“ゲームチェンジャー”となる機能だと考えている」(ホールウェイ氏)。

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