天然ガスの生産に関しては、米国で「シェールガス」の生産が商業化されたことで、大きく生産コストが下がった。(図4)。シェールガスとは「頁岩(けつがん)」という泥土が積み重なって固まった岩石層の中に含まれる天然ガスで、頁岩層に高圧の水を注入して亀裂を入れ、天然ガスを取り出す。米国では安いシェールガスを天然ガス生産の中心に据えるという動きもあり、米国は海外からの天然ガス輸入計画も大幅に下方修正した。
ただ懸念材料もある。水圧破砕用の注水が地下水を汚染する可能性があり、環境問題とどう折り合いを付けていくかがテーマとなるだろう。この懸念はシェールガスを生産しようという他国でも同じであり、特に環境問題にうるさいヨーロッパでは、地質データ不足の問題とともに大きなハードルになるといわれている。
一方、日本において期待される天然資源としては、「メタンハイドレート」がある。これは海底下の地層の中に低温高圧状態で存在する氷状の物質で、メタン分子を囲む水の分子から成っている。資源エネルギー庁の資料によれば、東部南海トラフ海域だけで約1兆1400億m3。日本の天然ガス消費量の13.5年分に相当する量の存在が確認されているという。南海トラフとは四国沖の海底にある深い谷で、西日本が乗っているユーラシアプレートの下に、フィリピン海プレートが潜り込むプレートの境界線だ。
メタンハイドレートの調査には、海上からの音波探査が有効とされている。過去の天然資源探査において、探査記録データの中に通常の地層とは違う音波反射面があることが知られていたが、正体は分からず、この現象を「BSR(Bottom Simulating Reflector、海底疑似反射面)」と名付けていた。後の研究でこの反射面がメタンハイドレートの存在を示すということが分かってきた。現在はBSRがあるところにはまずメタンハイドレートがあるだろう、ということになっている(図5)。
分布図を見てお気付きの方もあるかと思うが、BSRの分布は日本近海にあるプレートの境界線とほぼ同じ位置にある。素人考えだが、恐らくメタンハイドレートの生成、あるいは出現とプレート境界線が、何らかの関係を持っているのではないかと予想する。
さらにこれを発掘するとなると、プレートの境界線付近を大規模に掘削などするということになるだろう。技術的な難しさもさることながら、そんなところをほじくって地震を引き起こしたりしないのか、という社会的不安に対して、十分な科学的根拠のある説明が成されなければ、非論理的な反対が起こるのではないかと思われる。
2011年3月の計画停電は不評だった。夏の節電も同じだ。節電の効果はあったのだろうか。次に節電について考えてみよう。
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