3社は秋田県湯沢市に4万2000kW(42MW)規模の地熱発電所を建設する。2015年に着工予定。周囲の温泉地と共存できる見込みが付いたことが建設推進への決め手となった。
電源開発(J-POWER)と三菱マテリアル、三菱ガス化学の3社は、2011年11月7日、秋田県湯沢市で地熱発電所を建設すると発表した(図1)。環境アセスメントなどの諸手続を経た後、2015年に着工し、2020年に運転を開始する予定。
「地熱発電で一番重要なことは、付近の温泉地と共存できることだ。今回の調査で、地熱発電に十分な熱量などを確認できた」(電源開発)。
3社が2010年に設立した湯沢地熱は、これまで新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)*1)から調査井を借り受け、湯沢市葵沢と、同秋ノ宮地域で地熱開発調査を進めていた。調査の結果、発電所の設置が可能だとして「山葵沢地熱発電所(仮称)設置計画 環境影響評価方法書」を経済産業大臣に届出、秋田県知事と湯沢市長へも送付したという。
*1)NEDOの調査では、200度以上の熱水が付近の地下に存在することが確認されていた。
最大出力は4万2000kW(42MW)を予定する。3社によれば、天候に左右されず安定した発電が可能な再生可能エネルギーとして導入するという。
日本は地熱資源に恵まれており、資源量では世界3位(2350万kw、23.5GW)である。しかし発電量は53万5000kW(536MW、2010年)*2)にとどまっており、世界第8位だ。
*2)国内最大の地熱発電所は九州電力の八丁原発電所(大分県九重町)。出力11万kW(110MW)。山葵沢地熱発電所(仮称)は国内第6位の規模になる。
発電量首位の米国は、資源量では日本の1.3倍程度(3000万kw)だが、発電量では日本の6倍近い3000MWに達する。
日本が地熱資源の開発で遅れている原因は多数ある、電力会社以外に発電事業が認められなかった期間が長く、資源の大半が国立公園内にあったことや、周囲の温泉地との共存が難しかったことなどだ。
2010年以降、政府は国立公園内の開発を制限付きながら認める方向に政策を転換しており、規制緩和を受けて、今後、国内でも地熱発電が伸びていく。
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