高価なソフトの稟議では、経営層から当然費用対効果を求められる。「俺におもちゃ買ってくれよ〜!」と駄々をこねたくなる瞬間だ。
前回に引き続き、CAE関連の議論をするTwittererたちの大手町談義(登場人物と経緯は第1回参照:モデレータは南山雄一氏)をお届けする。
「それ、あるある!」と共感しつつ、あなたの抱える問題の答え探しのヒントが見つかればと思う。
「答えを出すのは、あくまであなたです!」
編集部注 *現場の生の声、当日の会話の流れをできる限り忠実にお伝えしたいと考え、本来文章としては粗いと感じられる表現(通常の記事では修正する表現)も一部許容して編集しました。
――休憩を少し挟み、話題はCAE推進を阻む「壁」の話に。しかしそれは、置かれている立場により、さまざまな捉え方があり……。
ざっくばらんに、「なんか壁があったよね」と。
それは、「設計者に対して」ということですか?
いや、それより広いな。
――南山氏は、「壁」を「CAEを推進していく上での壁」と定義。例えば、以下のようなことを例として挙げた。
――上記についてさまざまな立場、視点から論じていくことにした。ところが、「(そういう壁なら)あんまり感じたことはない」という土橋氏の一言。
おっ。すごいっ、優秀。
ただ、自分の中で思うのは……。設計者の要求について、(CAEで)タイムリーに応えてあげられないところには壁を感じています。自分が設計者だったら「いま知りたい」というところに対して、「いま答えてあげられない」というところです。
南山さんが言うようなキャリアの部分――要は、「どれだけそれ(CAE)を使いこなせるか」というところだと、まだ自分自身がそこまで行き着いていない。だから、その(実際に解析している)時間にプラスして、試行錯誤している時間に対しての精度になります。なので、答えてあげたものに対して、どれだけ自分が責任を持って、「いけるよ(大丈夫だよ)」って言っているのか。そういうところに対しても、壁が……。
ジレンマだね。
そう、ジレンマを感じる。
大事なことだと思う。
設計者は「1時間後に知らない」と設計が進まない。でも(解析側は)「明日まで待ってね」って言わなきゃいけない。
それは、待ってくれないよね……。
それが……「申し訳ないな」って思うのが1つ。それと、「それが、“もっとできるよう”になっていけばいいんだよな」って。
――少量多品種の産業機械(非定型の内容が多い個別受注中心)を設計する土橋氏の会社は、CAEの歴史がまだ長くない。なので、CAEを設計者へ広めるためのノウハウの蓄積はこれからというところがあり、それは仕方がない部分もあるのでは、と南山氏は言う。
えっと、じゃあ、つのだこさんが、感じることは?
(前職のCAE専任者時代の話)CAEの専門部署が逆に壁を作るんですよ。要するに、設計者に展開すると「自分たちの仕事がなくなるのではないか」という(解析専任者の)恐怖心がある。
でも多分、それ違うんだと思うけど。
うん。多分違うんですけど……。設計者に展開しても、「どうせ、精度がいい物ができねぇんじゃねえか」って。それも、違うと思うんですけど……。で、そういうことを(解析専任者が)上層部に言うんですよ。それで、「(上層部が)じゃあ、専門家に任せるしかない」ってなって……。そういうのが嫌になって脱出(転職)したという話なのですが(笑)。
本当は違うんだよねぇ〜。「設計者がやっていいよ」っていう部分を切り分けちゃえばいいのに。そして専任者はより高いところにいて。それで、設計的には1つの方向に向かっているんだから。住み分けはできるのに。「技術支援」だって僕が公言しているのには、そこがあるんだよね。自分で壁を作っちゃ駄目だよね。
――南山氏の部署名は「技術支援室」。この部署は、設計者にとっての解析相談室のような存在だという。これも、設計と解析の住み分けの1つの在り方というわけだ。
専任者の役割って、「自動化」とか「マニュアル」とか……、いろいろ議論はあるにしても、設計者向けのCAE環境をどんどんフィードしていく。
やっぱ、なかなか難しいよね。今度、それが自分の立場になると、自分の給料と、査定で、「うううーん」っていうことになって……。まあ、それも乗り越えなきゃいけない壁だよね。
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