一般・個人向けの3次元出力サービス「3D print lab」は、金属の造形物も作れる。ほかにも楽しいモノづくり事例が。
3次元プリンタは、廉価になってきているとはいえ、個人で購入するにはまだまだ非常に高価だ。実は、一般・個人向けの3次元出力サービスも存在する。ベルギーメーカーのマテリアライズ(Materialise NV)社が提供する「i.materialise」の「3D print lab」もその1つ。Web上のサービスに3次元モデルを登録すると、即、コストを算出し、その後は決済を済ませば宅配便で品物が届けられるという仕組みだ。英語のサービスだが、日本からでも利用可能だ。
アップロードの対応フォーマットは、STL、3ds、magics、igs、model、mxp、mgx、obj、wrl(VRML2.0)。それ以外のフォーマットの場合は、zipファイルでアップロードするか、同社の電子メールアドレス宛てにメール添付で送付すれば対応してもらえる。
3D print labでは、3次元CAD・CGのデータだけではなく、Google SketchUpのモデルも利用できるのも大きな利点だろう(生データではなく、STLを生成する)。Google SketchUpでは、3D print labがプラグインとして採用されている。無償版のSketchUpでも、期間限定で同サービスが利用可能だ。
造形できる材質や造形方式は以下の通り。フルカラー出力(材質は石こう1種のみ)も対応し、樹脂の種類も豊富で、金属(チタン)も出力できる。
フルカラーで3次元プリントをしたい場合で、形状データ、マテリアル、テクスチャのデータが別々に存在する場合、それぞれのファイルを1つのzipファイルに圧縮してからアップロードする。
カスタム品(俺グッズ?)を作るためのツール(Tools)も用意している。ドア用のハンドル、テーブルランプ、ブックエンドなどがある。デザインの基になる3次元モデル(Sketch Upもあり)をダウンロードし、Webページにある説明(仕様)に沿ってモデルを変更していく。完成した3次元データを上記のサービスにアップするという仕組みだ。決められた仕様内のデザインであれば、ツールのページに記載された価格で製作可能だ。
i.materialiseを運営するベルギーのメーカー マテリアライズ社は、3次元プリンタ(積層造形)を利用するためのソフトウェアや、3次元造形のR&Dサービスを提供している。i.materialiseは、同社内の社員(約800人:当時)を対象に、2009年8月にβ版で提供し、市場導入の可能性を評価している。見積もり額は一応算出されるものの、造形費用は会社が負担した。
同社の社員からは、ナビゲーションシステムの自転車用アタッチメント、ブックエンド、自宅のミニチュア、フィギュア、ランプシェードなどさまざまなアイデアがたくさん飛び出したとのこと。
このβ版評価を経て、i.materialiseは2010年1月、めでたく正式にビジネス化された。こんなβ版評価、記者も参加してみたかった。
MONOistの記事『3次元プリンタで私がフィギュア化されるまで』では、ねとらぼの宮本真希記者がフィギュア化されていく様を解説した。彼女のようにフィギュア化されたいという奇特(?)な方がいたなら、“ある程度のお金とデータさえあれば”プリントしてもらえる仕組みは一応あるということになる。しかも、フルカラーや金属で。
3次元スキャンについては、スキャナを購入しなくても、計測やCG製作を行っている企業や、販売代理店などが提供するサービスが存在する。日本では、主に企業向けであることが多いが、個人の依頼を受け付ける場合もある。またそういった企業が、人間のスキャンを請け負うケースもあるようだ(映像製作関連や、芸能人のプロモーションなど)。
Materialise.MGX(以下、.MGX)は、自分のモデルだけではなく、新進気鋭のデザイナーたちがデザインした製品もプロデュースしている。形状は、積層造形の特性が存分に生かされている故に、なんだかユニーク。
以下の写真もそのうちの1つで、フランスのデザイナー Patrick Jouin氏による折りたたみ椅子(いす)「One Shot.mgx」(ワンショット スツール)。
材質は樹脂。タコ足状になったこの椅子は、展開、収納が容易に行える。もちろん、組み立ては不要。価格は1脚21万円前後(参考価格)。
製品は、同社の.MGXと提携するショップ(国内で販売あり)で購入できる。Facebookの同社ページからは、ランプシェードが購入できる。
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