39の特性パラメータを図3に示します。
そうすると、「ブレーキキャリパーを小さくするために、小さいブレーキパッドを使う」の部分は、「小さい」という形容詞的なキーワードから、「移動物体の体積」もしくは「移動物体の面積」と置き換えられそうです。また、その結果「パッドの放熱性が悪くなる」という部分は、「熱」という属性から「温度」に置き換えられそうです(ただこの場合、1つ上位の「移動物体のエネルギー消費」と置き換えることも可能かもしれません)。
整理すると、改善する特性は「移動物体の面積、移動物体の体積」で、悪化する特性は「温度」ということになります。工学的矛盾マトリクスの縦軸が改善する特性で、横軸が悪化する特性ですから、それらの交点に存在する発明原理は「分離原理」「ダイナミック性原理」「アバウト原理」「排除・再生原理」「不活性雰囲気利用原理」「先取り作用原理」「機械的振動原理」となります。矛盾解決マトリクス一覧を図4に示します。
ただ、現在ではほとんどの場合ソフトウェアを使って進めますので、前回同様Invention Machine社の「Goldfire Innovator」を使って選択した画面を図5に示します。ソフトウェアを使うと、矛盾解決マトリクスの交点にある番号を、発明原理の番号に置き換える手間が省けますし、発明原理が意味するイメージを画像として提示してくれるので、アイデアを発想しやすくなるという利点があります。
そして、最後に問題になるのは、40の発明原理です。図6にその一覧を示します。
1番目の発明原理は「分割原理」です。これは、問題を起こしている部分やその関係性を「分割」することで、問題解決に使えませんか? というヒントなのです。例えば、大きな家具は持ち運びに不便だし、インテリアコーディネイトも制約を受けますよね。だから、チェストとかボックスとかに分割しておくことでレイアウトの多様性が高まるし、持ち運びも楽になりますね。
2番目の「分離原理」は、本当に必要な部分だけを残して、有害な問題を(含有している)部分だけを取り除くことはできませんか? というヒントです。これは、先の分割原理の派生原理とも解釈できます。
3番目は、「局所性質原理」です。これは、均質な物体構成を不均一にすることや、別々の機能(働き)を持たせることで問題解決できませんか? というヒントですし、4番目の「非対称原理」は、形を非対称にすることを提案しています。
このように、物理的な手段や人間の考え方(視点)の転換、および材料や環境の変更など合計40種類のヒント集として、発明原理が構成されています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.