京セラは国内の農業分野向けでは初となる大規模太陽光発電システムを北海道に設置した。1MWのシステムで年間3000万円の電気料金削減を狙う。北海道は発電条件が良く、さまざまな太陽電池の利用形態が考えられる。
日本国内の太陽電池導入量は住宅用(屋根設置)に偏っており、2010年時点の新規導入量の約9割が住宅用である。しかし、2011年4月に環境省が発表した「再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査」によれば、技術革新や政府の支援策によって数値がある程度上下するものの、今後、非住宅系の発電量の方が数倍多くなる見込みがある。
例えば、農業向けである。京セラは2011年5月13日、農業分野における国内初の大規模太陽光発電システムを北海道で導入したと発表した。2011年5月下旬の稼働開始を予定する。
子会社である京セラソーラーコーポレーションが北海道東部太平洋岸に位置する厚岸郡の酪農家105戸(浜中町農業協同組合所属)へ、合計出力1.05MWの太陽光発電システムを設置した(図1)。日本国内で最も多く出荷されている多結晶Si(シリコン)太陽電池を用いた。出力208.4Wの太陽電池モジュールを約5000枚利用している。
今回のシステム全体の年間発電量として121万kWhを見込んでおり、電気料金に換算して年間約3000万円の削減、CO2(二酸化炭素)排出量の削減は約380t(森林面積換算で約107ha)に相当するという。
なお、京セラが公開している「住宅用ソーラー発電シミュレーション」によれば、北海道釧路の年間合計日射量(kWh/m2)は東京と比べて約1割多く、年間予測発電電力量も約1割多くなる。今回同社が発表した酪農家向けシステムの年間発電電力量予測は、このシミュレーション結果とも合致している。
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