.NET Micro Frameworkは、さまざまなハードウェアやOSにポーティング可能です。.NET Micro Frameworkのアーキテクチャを図7に示します。
図7の「PAL(Platform Abstraction Layer)」「HAL(Hardware Abstraction Layer)」と呼ばれている部分を、ポーティング先のハードウェアのファームウェアやOSに合わせて実装することにより、.NET Micro Frameworkをポーティングします。
また、ポーティングには「Porting Kit」が必要です。Porting Kitは、以下の関連リンクからダウンロード可能です。
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⇒ | 「Porting Kit」のダウンロード |
最新版のPorting Kitのバージョンは、SDKと同じくバージョン「4.1」です。Porting Kitには、.NET Micro Frameworkをポーティングするのに必要なツール、バーチャルマシンコード一式、サンプル、ドキュメントが含まれます。これらは、開発用PCの“c:\MicroFramework_PK_v4_1”にインストールされます。このキットには、ポーティング作業を支援する「Solution Wizard」というツールが用意されています。
ポーティングに関するドキュメントは、バージョン4.1で大幅に拡充されているので、ポーティング作業に関する詳細はそちらをご覧ください。Porting Kitの中には、Visual Studio 2010のデバッグ時に使われるエミュレータのコードをはじめとする、さまざまなCPU、ファームウェアに対するサンプルも入っているので、必要に応じてポーティング作業の参考にしてください。Solution Wizardでは、それらサンプルのクローンを作成して独自のポーティング環境を作成できます。また、Solution Wizardには、搭載機能を選択する画面も用意されています。
なお、バーチャルマシンやHALのコードをコンパイルするには、ポーティングするCPUやOS用のコンパイラや開発ツールが別途必要です。
.NET Micro Frameworkは、欧米や日本ですでに製品やシステムの一部として採用されています。いくつかの事例がマイクロソフト米国本社のWebサイトで紹介されているので、そちらを参照してください。
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⇒ | 「.NET Micro Framework」の採用事例 |
ここでは、日本の事例の中からコアの事例を紹介します(以下、関連リンク)。
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⇒ | コアの事例:TRONSHOW 2010での展示概要 |
この事例は、おととしの「TRONSHOW 2010」で展示したもので、T-Kernel上に.NET Micro Frameworkをポーティングしています。この形態を取ることにより、T-Kernel向けに開発されたコードをそのまま再利用して、C#のプログラミングにより、ネットワークによるネットワーク上のサービス連携やグラフィカルなUI機能などを既存資産に加えることができます。さらに、マイクロソフトのフォトフレーム向けサービス「Windows Live FrameIt」との連携を披露しました。その後、コアの尽力で、地図の描画やネットワークストレージ上のデータのグラフ表示、ネットワーク上のひらがな漢字変換サービスを使った文字入力機能、T-Kernel側の音声ソリューションを使ったテキスト読み上げ、Windowsデスクトップライクなシェルなど、さまざまな機能が追加されています。.NET Micro Frameworkを使って、どの程度まで可能かを知るよい事例といえます。
ほかに、ルネサス エレクトロニクスのCPU、SH-2/SH-2Aを使ったソリューションも、コアや日立超LSIシステムズから提供されています。実際に、.NET Micro Frameworkを製品にポーティングしてみたいという方は、これら実績のある企業に相談してみるとよいでしょう。
.NET Micro Frameworkの概要と歴史の項で紹介したように、.NET Micro Frameworkは、ほぼ1年間隔でアップデートを繰り返し、機能の拡充が図られてきました。バージョン4.0から、コミュニティ開発という新しい開発形態に移行し、コミュニティからの寄与コードも最近ちらほらとリリースされてきています。今後は、機能の拡充や実装の改良が、マイクロソフト本体の開発部隊とコミュニティに参加する企業や開発者と共同で行われていく見込みです。
近い将来、スマートグリッドやスマートハウスが浸透・発展していく中で、WindowsやLinux、Androidを載せるほどでもない規模のハードウェアの超小型端末が、次々とネットワークにつながっていくことが予想されます。そんなデバイスにぴったりのファームウェア、それが今回紹介した.NET Micro Frameworkです。
これまで、.NET Micro Frameworkを実際のマイコンボードで試すには、比較的高価な評価ボードが必要で、若干ハードルが高かったのですが、最近ようやく、FEZ MiniやArduinoをはじめとする廉価な評価ボードが市場に出始めました。
また、若松通商が2011年1月に秋葉原で「アキバNET館(Akihabara Network & Embedded Technology Center)」をオープンします。アキバNET館では、.NET Micro Frameworkが動くボードがいくつも展示されており、すぐに試してみることができます。ほかにセミナーやワークショップなど各種イベントも予定されています。興味のある方は足を運んでみてください。
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⇒ | アキバNET館 |
開発者の皆さん、ぜひ、.NET Micro Frameworkを触ってみてください。そして、身近な小型組み込み機器・端末で活用してみてください!
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