熱き戦いが繰り広げられたETロボコン2010 〜想定外続出! 波乱ずくめ!〜ETロボコン2010 レポート(3/3 ページ)

» 2010年12月20日 00時00分 公開
[遠竹 智寿子,@IT MONOist]
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番外編:写真で見るETロボコン会場

 さて、今大会の優勝チームをお知らせする前に、番外編として、“衣装でも頑張ったで賞”を個人的に贈りたいと思う。

 まずは、大会初の“かぶり物”衣装で登場し、会場を沸かせていたチームHULAパンダだ。規制のスエットを利用して手作りでパンダの耳を付けたおそろいのユニフォームに、お尻部分には尻尾まで付けた凝りようだ。

 大会唯一の女子チーム「笑’s三人娘(リンク情報システム 企画室)」は、“エンジニア”や“ロボコン”といった響きからは、ミスマッチとも思える女の子ならではのフワフワ感漂う衣装が、返って斬新で目立っていた。笑’s三人娘の女子3人は、今年4月に新卒で入社後間もなく、ETロボコン出場を命じられ、何が何だか分からないところからのスタートだったという。レースでは難所にもチャレンジして健闘していた。


競技をさらに楽しめるものにしてくれたのがチームHULAパンダや笑’s三人娘の凝った衣装だ 画像21 競技をさらに楽しめるものにしてくれたのがチームHULAパンダや笑’s三人娘の凝った衣装だ
当日はTwitter上からも各チームへの声援が送られていた 画像22 当日はTwitter上からも各チームへの声援が送られていた
会場内には各チームのモデルが掲示されていた 画像23 会場内には各チームのモデルが掲示されていた
お互いのチームのモデルを真剣に確認する姿も 画像24 お互いのチームのモデルを真剣に確認する姿も
「新しい難所」や「ルール」を提案する掲示板も用意されていた 画像25 「新しい難所」や「ルール」を提案する掲示板も用意されていた。来年の競技に反映されるかも?

総合での上位を南関東チームが占める!

 本稿でお伝えした競技部門の順位のほか、モデル部門、総合(競技部門+モデル部門)の結果(ベスト3)を紹介したい。

順位 チーム名
第1位 SAGA組込ソフト研究会(九州/個人)
第2位 こっぺぱん♪(南関東/神奈川工科大学 吉野研究室)
第3位 AEK RUNNER10(南関東/アンリツエンジニアリング)
【競技部門順位】

順位 チーム名
エクセレントモデル HELIOS(東海/アドヴィックス)
ゴールドモデル 田町レーシング(東京/オージス総研 組み込みソリューション部)
シルバーモデル サヌック(東海/明電システムテクノロジー)
シルバーモデル 青大ロボコン研MAX(東北/青森大学 ソフトウェア情報学部)
【モデル部門順位】

順位 チーム名
優勝 AEK RUNNER10(南関東/アンリツエンジニアリング)
準優勝 こっぺぱん♪(南関東/神奈川工科大学 吉野研究室)
第3位 i-K∀S(南関東/日立アドバンストデジタル)
【総合順位】


 総合での上位は、すべて南関東チームで占められた結果となった。これまで優勝チームを出したことがなかった同地区では、昨年から地区を挙げて優勝を目指して取り組んできたという。また、競技部門で第3位だったAEK RUNNER10が総合では第1位、第2位だったこっぺぱん♪ は総合でも第2位だった。ちなみに、総合で第3位だったi-K∀Sは競技部門では第4位に入っていた。

総合優勝を果たしたAEK RUNNER10は…… 画像26 総合優勝を果たしたAEK RUNNER10は「仲間に支えられてここまでくることができた。本当にうれしい」、第2位のこっぺぱん♪は、「競技は2位で、モデルでは上位に入っていなかったので、どうかなと皆で話していた。まさかの結果でうれしい」と、それぞれ感想を述べた
「シーソー停止は、5分の1の確率で…… 画像27 「シーソー停止は、5分の1の確率で成功していたが、それが大会で成功したのがよかった」と競技部門第1位のSAGA組込ソフト研究会
「いろんな人からの応援と支援でここま…… 画像28 「いろんな人からの応援と支援でここまでこられた。本当にうれしい」とモデル部門でエクセレントモデルを獲得したHELIOS

 興味深いのは、競技部門1位とモデル部門1位を取ったチームは、どちらも総合上位には該当していないことだ。モデルと競技の両方を重視した結果なのだろう。また、特別賞として実装の優れたチームを表彰する「TOPPERS賞」は、チームHULAパンダに贈られた。

来年は、ETロボコン10周年だ!

 全般を通じて“失敗を恐れないチャレンジ精神”が大いに感じられた大会だった。この数カ月の間、チャレンジを繰り返す中で、いくつものドラマがあったに違いない。悔しい思いをしたチームも、満足な結果を出したチームも力を出し切り、難所に盛んに挑戦しながら、よい競技を見せてくれた。

 同コンテスト 本部・実行委員長の星氏は、「(地区大会中)一度、『シーソー停止は無理ではないか。そこに時間をかけても仕方ないので、ほかに時間を費やすべきでは』と話していたこともあった。しかし、北陸大会での『1秒なら停止できる!』というある学生の言葉で、『やってみよう!!』と続けた。そして、今日は見事に2チームがシーソー停止を成功させた。この成長が素晴らしいと思う」と語り、最後に「来年もまた皆さんの成長をぜひ見たいと思っています」と大会を締めくくった。

 来年はETロボコン10周年の年だ。若手組み込みソフトウェア技術者たちの新たなチャレンジがいまから楽しみである。


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