全レースが見どころ満載といった中で、特に個人的に印象深かった“走り”を、第1レースからいくつか挙げておこう。
チャンピオンシップ大会でおなじみとなっている東京代表「selfD(個人)」と、九州代表「とーんこっつ(アイシン・コムクルーズ)」の対決ではちょっとしたハプニングが起きた。
アウト側のとーんこっつの走行体がインに入り、selfDの走行体を倒してしまったのだ。再レースは行われたものの、とーんこっつはこのレースでは失格扱いとなってしまった。ちなみに再走行したselfDは、ミステリーサークルを回避して完走した。
南関東代表の「BERMUDA(富士通コンピュータテクノロジーズ)」は、「自信あり」と宣言し、インコースで見事ミステリーサークルをクリアし、坂道もスムーズに走行、最後のガレージインをキレイに決めて、会場から「おぉ〜」と声が上がった。このガレージインがなかなかのくせ者で、ほかの難所をクリアして完走したにもかかわらず、ここでちょっとのズレから接触してしまい失敗するチームがこの後にも続出していた。
チャンピオンシップ大会で唯一の高専からの出場チーム、東海代表 沼津工業高等専門学校の「ひものエンベダーズ」は過去にも大会出場経験がある。彼らは「シーソー停止にチャレンジ」を宣言していたが、シーソー手前で転倒してしまうという残念な結果に……。
九州代表「NiASET(長崎総合科学大学)」と東海代表「ぼそっと(個人)」のレースは、両チームともに見事難所をクリアして完走した気持ちのよいレースとなった。
東京代表「田町レーシング(オージス総研 組み込みソリューション部)」は、非常に滑らかでスピードのある走りを見せ、ミステリーゾーンをクリアしてインコースを完走した。何と“45秒”という速さだった。
第1ラウンドでは、アウトコースを走ったチームが特に難戦続きだったのだが、終盤で、南関東代表「AEK RUNNER10(アンリツエンジニアリング)」と、昨年の優勝チームである東海代表「サヌック(明電システムテクノロジー)」が、シーソーと階段の難所を華麗にクリアし、ガレージインまで成功させた。また、サヌックは、ピョコピョコ跳ねながら階段を上がるという動きが特徴的だった。それぞれの設計によって走行体の動きも異なるので、見ていて面白い。
対戦ペアとして注目を集めたのが、南関東代表の「i-K∀S(日立アドバンストデジタル)」と、東京代表の「チームHULAパンダ(日立超LSIシステムズ)」の“日立グループ”の対決だ。初出場のi-K∀Sは、インコースのミステリーサークルを成功させ完走、ガレージインまで決めたが、アウトコースのチームHULAパンダは、シーソーをクリアしたものの、階段で転倒してしまい惜しくもリタイヤとなってしまった。アウトとインを交代した第2ラウンドでは両者ともに完走。お互いの意地を見せた。
今年初めての開催地区となった北海道と沖縄の代表チーム、「ギャロップドライブ(NECソフトウェア北海道)」と「TeamAPITTev3(琉球大学)」の南北対決にも注目が集まった。「全国レベルの高さに驚いている。今日は全難所攻略を目指す」(TeamAPITTev3)、「応援も来ているので頑張りたい」(ギャロップドライブ)と意気込んだが、両者ともに途中でリタイヤとなってしまった。
次々と各レースが進む中、アウトコースでは、シーソー通過を成功させるチームは多いのだが、シーソー上での1秒停止を果たすチームが出てこない。また、その後の階段で倒れリタイヤとなるチームも少なくなかった。インコースでは、いかに超音波センサで検出し、確実に効率的にミステリーサークルを抜けるかが鍵となるのだが、この難関にチャレンジしクリアするチームは多く、アウトコースよりも完走率が高かった。
第1ラウンド終了時点で、同コンテスト 本部・審査委員長 渡辺 博之氏(エクスモーション/UMTP)は、「10チームほどが接戦となっている。今年はモデルの出来が全般的にかなり良くて、僅差となっている。1回目がうまくいかなかったところでも逆転の余地があるので、2回目も頑張ってください」とエールを送った。
第2ラウンドは、第1ラウンドと同じペアで、インとアウトを入れ替えてのレースを行った。その意気込みを聞くと「難所を攻めていきたい」「完走したい」「ガレージインを成功させたい」「失敗を恐れずにやりたい」といったコメントがほとんどだった。あらためてスピードだけではなく、正確性・柔軟性が求められるコースだと見ていて感じた。
この第2ラウンドではシーソー停止を、南関東代表「こっぺぱん♪(神奈川工科大学 吉野研究室)」と「SAGA組込ソフト研究会」の2チームが成功させて、大会での大きな見せ場を作った。
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