製品の複雑化や電子化、安全品質意識の高まりの中で、QFD(品質機能展開)やDSM(デザインストラクチャーマトリクス)と呼ばれる手法を用いて、開発初期段階で製品の仕様や機能、構造の整合性を確保するアプローチを採用している企業が増加しています。筆者は、これら一連の手法を総称して製品モデリングと呼んでいます。
製品モデリングにより、ある程度設計が具体化した後で実施される仕様や品質特性の整合性検証やリスクレビューを、より上流段階(要求定義や仕様設計)で実施することを狙っています。DSMはあまりなじみのない手法かもしれませんので、後述のコラムで補足説明します。
製品モデリングの基本的な手順を、カラー複合機の例を取って説明します。カラー複合機の基本構成は図3のようになっています。4つの主要機能(コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、FAX機能)から成り立っており、多機能製品かつ電子制御が多用されている複雑な製品例ですので、例として取り上げました。
ユニットレベルを見ると、光学系や露光、現像、帯電、定着など10以上のユニット(サブシステム)から構成され、それぞれがシステムからの指令により、相互依存的に関係しながら機能しています。またメカ・電気・ソフトだけでなく、トナーや感光体というケミカル要素も入っており、性能や品質を安定化することにおいても難易度の高い製品です。
製品モデリングの手順は次のとおりです。
カラー複合機の中の1つのユニット(現像部)を例として、ステップ1〜3の流れをご紹介します。
最初に、これから開発するユニットの仕様・品質特性・機能を無作為に抽出します。経験のある技術者であれば、過去の経験を生かして、今回開発するユニットに必要な要件や必要情報を洗い出すことができると思います。
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