LEDの配光が目的とする配光と同じならば、そのままLEDを並べるだけで十分です。しかし、そうでない場合は配光を変換する必要があります。配光を変換するには、レンズ、リフレクターなどを使用します。ここでは、レンズを使った配光変換を説明します。
LEDの配光はランバート配光とします。直下照度分布は図8のように、中心が明るく、中心から遠ざかるにつれて暗くなっていきます。この照度分布を中心からある範囲内で一様にするためのレンズを考えます。レンズを使ってどのように配光を変換すればいいでしょうか。
簡単化するために、LEDは点光源とし、レンズでの吸収や表面反射はないものとします。図9のように光源から出た光はレンズを通って屈折し、照射面に到達します。照射面を複数の同心円で分割すると、照度が一様であることから各円内に入るべき光束が求められます。そして、LEDの正面方向と円上に向かう方向のなす角度を、変換後角度とします。
また、LEDの正面方向に対してある角度以内に放射される光束を考え、その光束が先に求めた円内の光束と同じになる角度を求めます。この角度を、変換前角度とします。
変換前角度と変換後角度の関係が1つの円について求められたので、同様にして複数の円について変換前角度と変換後角度の関係を求めます。これらの関係を満たすように光線を屈折するレンズがあれば、一様な照度が得られるわけです。光線をどれだけ屈折すればよいかが分かるので、レンズ面の傾きをスネルの法則から求めることができます。そして、求めたレンズと点光源を組み合わせれば一様な照度を得ることができます。
しかし、LEDの発光面には大きさがあるため点光源とはズレが生じます。そのため、照度の一様性が低下します。そこで、照明光学設計ソフトを使い実際のLEDの大きさとレンズ形状を設定し、照度分布をシミュレーションします。そして、レンズ形状のパラメータを最適化変数とし、照度分布が一様になるように指定し、最適化を実行します。最適化とは、目標に近づくように、ソフトウェアが自動的にパラメータを変更する機能です。図10は、最適化後のレンズです。このレンズとLEDを組み合わせると図11のように一様な照度分布を作ることができます。
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