分かってもらうための社内稟議プレゼンは3ステップで技術系男子のための企画&プレゼン講座(2)(3/3 ページ)

» 2010年05月12日 00時00分 公開
[楊 典子/五葉コンサルティング,@IT MONOist]
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プレゼン作成のABCの「C」:パワーポイントのコツ

 パワーポイントのスライド作りで、特に意識していただきたいのが、以下の点です。


  • フォントサイズは参加者の最高齢÷2
  • 下限は18ポイント

 最も多く遭遇する、プレゼン失敗の代表例が「フォントサイズ設定のミス」です。どのようないい内容であっても、投影されたプレゼンが読めなければ台無しです。いかに上手なスピーカーであっても、やはり参加者の集中力や理解力は低下してしまいます。たとえ事前に資料を配布したとしても、資料への注目を促してしまうと、プレゼンのリズムは崩れてしまうものです。

覚えておきたいフォントサイズ設定のルール

 会場の広さやスクリーンサイズによって、最適なフォントサイズは異なります。とはいえ、そこまで配慮した設定ができるというのは、かなりのプレゼン上級者に限られます。

 そこで、プレゼン初心者の方にぜひ目安として覚えておいていただきたいルールが、前述の『フォントサイズはプレゼン参加者の最高齢÷2、下限は18ポイント』です。

 もし最高齢の方が55歳の場合には、27.5ポイント以上を使うようにし、参加者が35歳以下のプレゼンでも、フォントは18ポイント以上にしましょう、というもので、これにより先に挙げたような失敗はかなり防げると思います。また、適切なフォントサイズを使うことによって、必然的に盛り込める情報が限られますので、情報過多という、もう1つの失敗しやすいポイントを避けることが可能になります。

アニメーションは3つが限度

 パワーポイントに慣れ始めたころに、やってしまいがちな失敗が「アニメーション効果の多用」です。メッセージを順番に表示させることで、聞き手の注意を引きやすく、自分自身も話すリズムを作りやすいという効果もあるのですが、このスライド内や全体を通してこの効果を使い過ぎると、見ている方も疲れますし、ひどい場合にはプレゼンターの自己満足の世界に付き合っているような錯覚に陥ることもあります。

 アニメーションを使う場合には、1スライドに3つまで、使用するスライドは全スライド数の2割までを目安に「ここぞ!」というところで使うようにしましょう。

質疑応答を想定して補足情報リンク集を挿入しておく

 今回ご紹介した技法でプレゼン資料を作成する中で、技術系部門の皆さんが最も苦労されるのは「出さない情報を決める」という部分ではないでしょうか?

 伝えたい内容は思い付きなどではなく、さまざまなデータに基づいて、論理的に導いたものであることを伝えたいという衝動に駆られると思いますが、今回の技法で設定したスライド数やフォントサイズでは、それらを十分に盛り込むことは難しいと思います。そこで、ぜひ活用いただきたいのは、「関連資料をスライドにリンクで挿入しておく」という方法です。

 プレゼン発表のパートではこのリンク資料には触れずに進めていきますが、質問に対してデータを示した方が理解されやすいという場合に、このリンクが威力を発揮します。

 リンクを使うことで、フォルダーを探しに行くことなく、スライド上から該当データをスマートに表示しながら答えることができます。ちょっとした工夫ですが、これだけでも聞き手の印象は大きく変わるものです。

 この方法を使うためには、各スライドでどのような質問が上がり得るかを考えるというステップが必須ですので、そのこと自体、プレゼン全体のレベルを一段引き上げる役割を果たします。結局リンク資料は使わなかったということもありますが、プレゼンのゴール達成という目的には威力を発揮しますので、ぜひ試してください。

まとめ

 社内稟議用のプレゼンの場合、見た目の美しさよりも、いかに簡潔に意思決定に影響する情報を出せるか、という点が重視されます。取引先が作成する、たっぷり時間をかけて作り上げられたプレゼン資料には目を通す経営層も、自社の社員が社内稟議のために同じような資料を作ったとなると、反応はまったく違います。

 「こんなことに仕事の時間を費やさないでくれ」という思いが先立つ方がほとんどです。特に、凝ったアニメーションは経営層にはすこぶる不評です。

社内稟議プレゼンは技術者気質と親和性が高い

 社内稟議プレゼンの特徴をあらためて見直すと、このタイプのプレゼン資料は、論理的に、飾りのない本質的な情報をしっかりと組み上げることにたけた技術系部門の皆さんにとっては、とても作りやすく、評価も得られやすいものともいえます。

 もしこれまでプレゼンに苦手意識をお持ちで、プレゼンの機会を避けてきているようなら、ぜひ今回紹介した方法を使って、一度試していただきたいと思います。パワーポイントが得意ではなくても、あまり手間も掛からずに、目的を達成できるプレゼン資料が仕上がることを実感いただけると思います。

◇ ◇ ◇

 次回は最終回として、最も苦手とされる方の多い、プレゼン発表のコツをお伝えします。プレゼン発表がちょっと苦手だな、という技術系部門の皆さんにとって、使いやすく、効果が出やすい技法をご紹介したいと思います。どうぞお楽しみに!


筆者紹介

五葉コンサルティング株式会社
代表取締役
楊 典子

外資系コンサルティングファームにて大手自動車、機械、部品、消費財メーカーなど、多くの製造業のサプライチェーンマネジメント改革プロジェクトにて、コンサルティングに携わる。
 外資系医療機器メーカーにてシックスシグマを学び、業務プロセス改革、シックスシグマの展開、経営品質管理を行う。その後、五葉コンサルティング株式会社を設立し、代表取締役に就任。

【主な資格】物流技術管理士、SAP社SCM認定コンサルタント、シックスシグマグリーンベルト、アクションラーニングコーチ、中小企業診断士


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