3次元CADも「見える」から「そこにいる」へメカ設計 イベントレポート(13)(1/2 ページ)

米DSソリッドワークスのプライベートイベントより、映画『アバター』でも使われたMR(複合現実感技術)の話題をお届けする

» 2010年02月12日 00時00分 公開
[小林由美@IT MONOist]

CADを生かす時代

 「確かに面白い。しかし、実務で本当に使えるのか?」――そう考えられてきた技術が、着々と実用化に向け、動き出している。

 近年の3次元モデリング技術そのものは、すでにだいぶ成熟してきた。むしろそこを核とした作業の自動化や統合データ管理システムの整備が進められている現状だ。従来通り3次元モデリング技術も向上させつつも、3次元データを生かす技術の強化をする動きが目立つ。

 さて今回のレポートは、米国・カリフォルニア州アナハイムで行われた米ダッソー・システムズ ソリッドワークスのプライベートイベント「SolidWorks World 2010」(会期:2010年1月31〜2月3日)より、MR(複合現実感技術)に関するトピックにクローズアップしてお届けする。

MR技術と映画製作

 今回、ゼネラルセッションのゲストとして、SF映画『アバター』を手掛けたジェームズ・キャメロン(James Francis Cameron)監督が登場し、同社の創立者であるジョン・ハースティック(Jon Hirschtick)氏と対談した。キャメロン氏のこのたびの作品や過去作品にまつわる制作エピソードに交え、最新の3次元映像技術について語られた。『アバター』は、劇場で配布される特殊なグラスをかけると、まるでその世界にいるかのような映像が立体的に現れる。この映画は、MR技術のかたまりでもある。

同社の創立者 ジョン・ハースティック氏(左)とジェームズ・キャメロン氏(右)

リハーサルですっかり意気投合したというお二方

 この映画は、青い宇宙人の姿に役者がメイクアップしてから、撮影しているわけではない。顔にマーカーを付けた役者の動きをモーションキャプチャで取り込み、同時に宇宙人のルックスのCGを合成する。作中に出てくる車両も、リアルな画像はフレーム構造のようなものだという。

 父上が技術者で、自身も理系学科を専攻した経験のあるキャメロン氏は、芸術家の視点と、技術者の視点を併せ持つ。絵としてリアルに見せるだけはなく、作中に出てくる車両では構造シミュレーション、登場人物の髪の毛の流れでは流体シミュレーションを用いて検証したうえでCGを作り上げ、よりリアルな世界を追求したのだという。

 映像制作と設計・製造とでは、モノを作り上げていく基本技術やプロジェクト進行の際の工夫、その思いなど、さまざまな共通点がある。キャメロン氏と来場者たちは属する業界が異なるわけだが、会場ではたびたび共感の拍手が湧いた。

設計・製造界の『アバター』か!? ――キヤノン

ステージ上のヒス氏(プロジェクタ画面)

 さて日本の代表選手として、ゼネラルセッションで登場したキヤノンは、同社の「MR Platform System」のデモを公開した。まんべんなくマークの貼られた箱の前に、米ダッソー・システムズ・ソリッドワークス 副社長兼プロダクトマネージメントディレクタのフィルダー・ヒス(Fielder Hiss)氏が立っている。はたから見ていると、いったい彼が何をしているのかよく分からない……。

 そこで、キヤノンの開発したヘッドマウントディスプレイ(HMD、Head Mounted Display)を装着すると、肉眼で見えるはずのリアルな画像と、プリンタの3次元モデルの画像が見事に合成され、まるでユーザーの目の前にプリンタの3次元モデルが現れたように見える。しかし残念ながら直に触る、操作するなどはできない(実機を触っているように見せることは可能)。

 CCDの画像データとジャイロセンサの角度を基にして、あらかじめ用意した3次元CGを合成することで、ユーザーの目の前にバーチャルとリアルが融合した3次元世界が現れる。合成したい3次元CADのモデルデータは、VRMLに変換しておく必要がある。

HMD越しに見た世界(プロジェクタ画面)

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