オートデスクは製造業向け3次元設計ツールの新製品「AutoCAD Inventor LT Suite 2010」(下記、Inventor LT Suite)を販売開始する。Inventor関連でLT(ライト版)の提供は今回が初めて。Windows 7にも対応。
同製品は、2次元CAD「AutoCAD LT」と3次元CAD「Inventor LT」のセットで構成される。ターゲットは、主に2次元CADメインのユーザーで、3次元CADへの移行を望む設計者や生産技術者だという。
新規ライセンスの価格は、23万6250円(税込み)。今回は代理店販売のみではなく、AutoCAD LTと同様に大手量販店でも販売する。ただしInventor LTの単体販売はなく、当面はSuiteでの提供が前提となる。
同製品はモデリング機能や製図機能のほかに、レンダリング機能も備えている。またダイレクトトランスレータにより、他社の3次元CADのネイティブデータを扱うことができる(以下の画像を参照)。
なお、Inventor LT Suiteのモデリング/作図機能は必要最低限となっており、上位版の「AutoCAD Inventor Suite 2010」と比較すると、主に以下の制限機能がある。
上記のように機能を減らすことで、製品価格を落とすことはもちろん、操作習得のための教育時間を大幅に減らすことも狙いとしている。
「アセンブリがないと仕事にならないのではないかと思われるかもしれませんが、AutoCAD LTのブロック機能やInventorのマルチボディ機能(1パーツファイルの中で、分割された複数の形状を持てる)を併用すれば、実務でも十分活用できます」(オートデスク 製造ソリューション アプリケーションエンジニア 草野 多恵氏)。
Inventor LTのマルチボディで、「派生コンポーネント」という機能をうまく使用すれば、外部の部品ファイルも含めた複数の部品の組み付け状況を確認することが可能だ。派生コンポーネントは、マルチボディの一部として、外部ファイルの形状を表示させることができる機能。参照先の部品の形状に修正があれば、表示も追従する。ただしマルチボディでは、部品の重量計算や干渉チェックは行えない。
「AutoCAD LTのユーザーから見れば、3次元CADはミッドレンジ(100万円前後〜)であっても高く感じられます。Inventor LT Suiteは新規で購入しても、AutoCAD LTに数万追加したぐらいの価格なので、手の届く範囲と考えてもらえると思っています」(草野氏)
また同社は今回のような廉価版を販売することで、上位版への乗り換えも訴求していく方針。「まず廉価な3次元CADで、ひとまず3次元モデルの操作習得、3次元モデルデータの蓄積を行っていきます。後に、3次元モデルがある程度たまってくるでしょうから、部品機能だけでは物足りなくなり、アセンブリ機能などを備える上位版への投資のモチベーションも高まるのではと考えています」(草野氏)。
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