実は一番知りたい!? 最適解の理由――CDAJシーディー・アダプコ・ジャパンの新製品発表

» 2009年11月20日 00時00分 公開
[小林由美,@IT MONOist]

 シーディー・アダプコ・ジャパン(CDAJ)は2009年11月20日、新製品の多目的最適化設計支援ツール「modeFRONTIER V4.2」(伊エステコ社製)とバーチャル車両解析ツール「GT-SUITE V7.0」(米ガンマ テクノロジーズ社製)を発表した。

 「最適化」について、コンピュータ解析における意味としては「コンピュータによる解の自動探索(CAO、Computer Aided Optimization)」を指す。繰り返し計算などの単純作業やデータ分析を自動化することで、本来集中したい作業に割く時間を増やすことなどが狙いとなる。

 modeFRONTIER V4.2には、米ナショナルインスツルメンツ社の計測・制御プログラミングツール「LabVIEW」とのダイレクトインターフェイスを追加し、実験データや制御設計のパラメータ連携をしやすくした。販売開始は2010年の春を予定している。

 「modeFRONTIER」は商用最適化ツールとして「多目的最適化」といわれる手法を世界で初めて採用している。この手法はパレート最適解を用いることで、複数の特性のトレードオフ状況を定量的に把握でき、どの特性を優先、あるいは妥協するかの判断がしやすくなるという。この多目的最適化は、最適なトポロジー(位相)をソルバで自動的に求める「位相最適化」とは異なり、ある固定したトポロジーを基にして数値解析する。

パレート最適解とは(配布資料より)

 同製品で以前から導入する「CAP(Computer Aided Principle)は、横浜国立大学 工学研究室 于 強(ウ キョウ)准教授が提唱する概念で、“何が”最適かではなく、“なぜ”最適なのかに着目していく。設計に関する要因同士の相互作用をグラフなどで視覚化することで、設計の原理から把握すれば、新たに考え出されたトポロジーについても、最適な仕様を予測することができるようになるという。

 今後の同社は、このmodeFRONTIERの販売を強化するため、新たにインテグレーション技術事業部を設立し、最適化担当技術者を倍増するとのことだ。同事業部とは別の解析技術事業部にも最適設計グループを設置し、ユーザーの企業に1〜2カ月程度出向し、最適化設計システムを構築するコンサルティングも実施していく。最適化設計の教育もこれまでと同様に強化していく方針だ。同社の開催する多目的最適化設計の基礎勉強会については無料で参加することができる(事前登録制)。

 GT-SUITE V7.0は、結果グラフ表示、3次元モデルとアニメーション機能、分散実行機能などを強化した。また追加機能として、流体モデル作成時に3次元CADで設計した形状の活用を可能にしたこと、電気・磁気回路のモデル化を可能にしたことなどを挙げた。こちらは2009年12月中旬に販売開始予定とのことだ。なお同社は学生フォーミュラ活動も支援しており、GT-SUITEは、参加大学のいくつかに支給している。

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