今回は第20回のDMS展から新設された「3次元測定ゾーン」の展示ブースの一部を紹介する。
今回は、今年の第20回からDMS展に新設された「3次元測定ゾーン」の展示ブースの一部を紹介する。
このゾーンには、3次元測定機・デジタイザなどを扱う企業たちが集まった。さまざまな仕様や大きさの部品に対応するため、3次元測定機もさまざまな大きさや様式が存在する。ご存じの通り、いまや3次元測定は3次元CADや3次元プリンタとの連携が取れるシステムもあり、部品の寸法評価だけではなく、リバースエンジニアリングやラピッドプロトタイプ(RP)などにも利用される。
コニカミノルタセンシングは、同社の開発した非接触3次元デジタイザの新製品「RANGE7」を展示した。
非接触3次元デジタイザとは「実在する立体物をスキャンして得られる3次元データをコンピュータに取り込む作業(モデリング)を行う装置」(同社ホームページより引用)。RANGE7はストライプレーザー光を測定物に照射し、反射光をセンサで受け、3角測量法を用いて距離データを算出し、さらにガルバノミラー(回転軸で駆動する鏡)でもストライプレーザー光をスキャンし、それらのデータから部品の3次元形状を割り出す。
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⇒ | RANGE7のコア技術(PDF) |
同装置は、暗室に持ち込んだりしなくても、超低反射率物体(通称「黒物」:光の反射率が極めて低い物体。反射率2.5パーセント程度)が測定できることが強み。また反射防止スプレーがなくても光沢面の測定が可能で、スプレーの被膜による寸法誤差を懸念しなくても済み、測定後に部品を洗浄しなくてもよい。また同装置は操作習得が容易で、測定用の部品を処分したり測定の際に部品の切断したりなどの手間も省けることで、測定の作業コストを大幅に削減できると同社は説明する。
展示ブース内のイベントではRENGE7の開発秘話も紹介。従来機では、価格を落として欲しいという要望があったという。「レンズは大変高価なものです。レンズを装着するための検査や校正に工数を掛けているからなんです。新製品はレンズの工数を減らすことでコストダウンをかなえました」(説明員)。また筐体サイズをできるだけ小さくするため、同装置では16層基板を採用して電気系統のコンパクト化を図ったが、多層基板の採用は同社製品ではめずらしいケースだと説明した。
それから同社の開発したパルスオキシメーター「PULSOX 1(パルソックス ワン)」の設計でRANGE7を利用した事例を紹介した。従来機は血を採取し血中の酸素飽和度を測定していたが、この製品では指に付けるだけで測定可能にした。
同製品は指に装着するため、サイズはなるべく小さいことが望まれたが、そうすると落としやすくなり、壊れやすくなる。まず競合製品をRANGE7で測定し、そのデータを3次元モデル化し、CAEで強度解析するという流れで設計検証を進めた。CAEでは、角から落とす、うちふたから落とすなどさまざまな条件を振っていき検討していく。
同社では「Made in Japan」にこだわり、顧客の声をダイレクトに聞き、素早く対応できることを目指す。そんな同社の工場紹介のムービーも公開。同工場ではセル生産方式を採用している。
同社は全数検査を行い、日本ならではの技術を追求している。徹底した在庫管理の様子や元気な社員たちの姿も紹介した。
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