前ページの図2で示したデータム記号のように、単一形体にデータムを設定することが一般的ですが、2つの異なるデータムを1つの共通データムとすることもできます。この場合、1つの枠の中にデータムの2つの文字をハイフンで結びます。
共通データムは、別々のデータム形体を共通の実用データム形体によって設定します。
実用データム形体の例として、同軸である2つの最小外接円筒を固定してできる共通軸直線を用いた場合、図6のようになります。
JISの改正によって、テーパ形状の軸線をデータムとする場合を除いて、図7のようにデータム記号を中心線に直接図示することは認められなくなりました。
なぜなら、左側の大径の軸線と右側の小径の軸線が必ずしも一致するとはいい切れないため、図8のように形体ごとにデータムを指示する必要があります。
データムは、先に出てきた図2のようなデータム記号だけで表現するわけではなく、公差記入枠にも関連を指示します(図9)。
公差記入枠とは、幾何公差の要求事項を記入するために、2つまたはそれ以上に分割した水平に配置する長方形の枠のことです。左から3つ目以降の区画には、データムを左から右へ優先の高い順にデータムを記入します。
*形状公差のように公差記入枠にデータムを記入しない場合があります。
つまり、アルファベット順に記入するわけではないのです。
図10に示すように、データムAを第一優先に設定した場合とデータムBを第一優先に設定した場合の違いを確認してみましょう。
このようにすることで、設計者がどの部位を優先させたいのか図面から判断できます。また、設計者は一般的に優先度の高い部位から順にデータムのアルファベットを決めます。従って、特に理由がない限りアルファベット順に優先度が高くなるよう図面指示されています。
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