「パリモーターショー(Mondial de l'Automobile、通称パリサロン)2008」が、2008年10月2日から19日まで、フランス・パリのポルト・ド・ヴェルサイユ見本市会場で開催された。欧州ではフランクフルトモーターショーと交互に隔年秋に行われ、世界最大規模のモーターショーとして知られる、パリサロンの2008年の注目展示についてレポートする。
2008年のパリサロン、昨今ヨーロッパでのモーターショーで強く感じる事でもあるのだが、環境負荷、特に二酸化炭素(CO2)排出量削減に向けた展示作りがまず目をひく。どの自動車メーカーのブースにも環境を意識したイメージで統一され、自動車の諸元表の一番目立つスペックはCO2排出量だ。
では、お膝元のフレンチカーメーカーから見ていこう。フランスのカーメーカーはイタリアなどと並んで、小型車やディーゼル車が多いことからCO2排出量の低いクルマが多く、2008年欧州自工会の自主規制である140g/kmの水準に達している数少ないメーカーである。そのためか、あまりハイブリッド等のシステムで話題になる事はないのだが、今年は違った。ワールドプレミアとなるクルマはすべてハイブリッド車だった。
Renault社(ルノー)からは、「Ondelios(オンデリオス)」というフラッグシップとなるハイブリッド車や、パワートレイン部を日産自動車と共同開発している「Z.E. Concept」という電気自動車を発表(写真1、2)。今展示会で、ルノー・日産連合はフランスでEDFという電力会社と電気自動車の実証プロジェクトを進めることも発表した。
続いてPSA Peugeot Citoroen社(プジョー・シトロエン)からは、「HY-motion4」というハイブリッドコンセプトが提案された。通常の2輪駆動車のエンジンで駆動されない軸(FF車なら後輪)に電気モーターを追加装備し、ハイブリッド化するのと同時に4輪駆動化するというもの。プジョーブランドからは、「PROLOGUE(プロローグ)」というコンセプトカー、シトロエンブランドからは、エレガントな外観をもつ「Hypnos」というコンセプトモデルが、いずれもHYmotion-4のハイブリッドシステムで登場した(写真3、4)。さらに、ル・マン24時間レースで、ドイツAudi社と好バトルを繰り広げている「プジョー908-HDi」に、F1マシンで採用される予定のKERSと同様なエネルギー回生装置を装備したハイブリッドモデル「908HDi HY」も展示ブースの中央に飾られていた(写真5)。
モータースポーツ分野ではシトロエンの「C4 WRC」にもHYmotion4が搭載されるが、なんと125kWもの電気モーターを搭載している(写真6)。すでに試験走行を繰り返しているこの世界初のハイブリッドシステム搭載ラリーカーは、実戦投入を待つばかりだ。
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