注目集めたハイブリッド車、電気自動車のコンセプト展示パリモーターショー2008(3/3 ページ)

» 2009年01月01日 00時00分 公開
[Automotive Electronics]
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完成度の高いプラグインハイブリッド車Volt


写真17 GM社の「Chevrolet Volt」 写真17 GM社の「Chevrolet Volt」 北米では小さい部類に入るだろうセダンのパワートレインにプラグインハイブリッドシステムを搭載したモデル。2010年には市販を予定している。搭載されるエンジンは1.4リットルで発電のためだけにあり、駆動は電気モーターのみのシリーズ方式ハイブリッドだ。搭載するリチウムイオン電池の容量は16kWhと大きい。
写真18 トヨタの「iQ」 写真18 トヨタの「iQ」 3mを切る全長に出来る限りの室内スペース効率を追求したコンパクトカー。2007年のコンセプトモデルから1年という短期間で生産型を発表。国内仕様は1リットルのガソリンCVTで、欧州仕様には1.4リットルディーゼルも加わる。smartブランドが牽引してきたこのセグメントをさらに活気づけてくれるだろう。ガソリンMT仕様は100g/kmを切る性能を持つが日本未導入。
写真19 ホンダの「インサイト」 写真19 ホンダの「インサイト」 初代は燃費性能だけをターゲットにしたコンセプトモデルの趣だったが、2009年春に日米欧で同時発売されるというこの新型インサイトは、5シート、5ドアハッチバックと実用性十分。ハイブリッドシステムは「IMA」と呼ばれるホンダ独自のエンジンを主とし電気モーターでアシストするタイプ。軽量小型化によるコストダウンにも注目だという。
写真20 日産の「NUVU」 写真20 日産の「NUVU」 電気自動車のコンセプトモデル。全長3mで、基本は2名乗車、必要に応じ+1名も可能なシティーコミュータ。ルーフはガラス張りで太陽電池パネルも搭載されている。詳細は明らかにされておらず、2009年の東京モーターショーで発表するという量産型の電気自動車モデルに、このNUVUに取り込んだエッセンスを投入するという先駆的役割。
写真21 富士重工業の「インプレッサディーゼル」 写真21 富士重工業の「インプレッサディーゼル」 その基本構造の恩恵から唯一バランスシャフトを持たないディーゼルエンジンであるボクサーディーゼルを、インプレッサ、フォレスターにも搭載し発表した。2リットルコモンレールターボの基本構成はそのままで、後処理性能を向上させEuro4対応とし、組み合わせるトランスミッションを改良してCO2排出性能を向上させた。
写真22 Hyundai社の「i20」 写真22 Hyundai社の「i20」 Bセグメントに属するi20をベースに1.4リットルディーゼルエンジンを搭載してBlue仕様とし、CO2排出性能を100g/km以下にしたモデル。欧州自工会の2008年に140g/km以下にするという自主規制はほとんどの自動車メーカーが達成出来ない状況だが、2009年と一年猶予のある日本メーカーと韓国メーカーにも厳しい。2012年に130g/km以下にするという目標にも猶予はない。
写真23 Kia社の「Soulハイブリッド」 写真23 Kia社の「Soulハイブリッド」 1.6リットルガソリンエンジンに15kWの電気モーターとCVTを組み合わせたハイブリッドシステムによるコンセプトモデル。CO2排出性能を117g/kmを目指しているという。同様なハイブリッドシステムを「ceed」にも搭載したコンセプトモデルも同時発表された。ceedでは114g/kmを目指すという。
写真24 マイクロカーの電動化コンセプトの一例 写真24 マイクロカーの電動化コンセプトの一例 小型汎用エンジンを搭載し、日本の軽自動車よりさらに小さいマイクロカーが、フランス国内では免許制度などの優遇を受けていることにより普及していることは意外と知られていない。電気自動車であることがふさわしいと思われるこのマイクロカーにも、当然のように電動化の波が押し寄せている。2009年にはEV版が発売される予定だという。

 北米、アジアからはまずGeneral Motors(GM)社。広大なブースのなかでも「Chevrolet Volt」が一番目立っていた(写真17)。スタイリッシュなセダンで、左フェンダからはプラグインハイブリッド車であることを誇示するかのごとく充電ケーブルが延びている。2011年には市販開始するというが、今すぐ発売すれば、この金融ショックのダメージを払拭できるくらい売れるであろうというほど、高い完成度だった。

 トヨタ自動車は、2007年のフランクフルトショーでコンセプトモデルを発表した「iQ」の市販モデルを早くも登場させた(写真18)。2008年内から国内、2009年からは欧州市場でも発売するというほどの意気込みだ。欧州仕様では、1.4リットルディーゼルモデルも加わる。

 本田技研工業は、これまでのイメージとはガラッと方針変更した「インサイト」を発表した(写真19)。1.3リットルエンジンに、ホンダ独自開発のIMAハイブリッドシステムを搭載する。2009年春から、日米欧で販売を開始する市販モデルに近いコンセプトモデルを展示した。

 日産は、電気自動車で業界をリードしようという動きがここでも感じられ、「NUVU」という小型電気自動車のコンセプトモデルを展示した(写真20)。2010年中に発売することを決定している電気自動車の量産モデルは、NUVUに採用している技術エッセンスが盛り込まれることになる。詳細を2009年の東京モーターショーで明らかにすることも公言した。

 富士重工業は、「レガシー」に搭載して好評を得ている、世界で唯一のボクサーディーゼルを、「インプレッサ」、「フォレスター」にも展開(写真21)。新しいプラットフォームと同時に6速ミッションを得たことで、CO2排出量をさらに削減することに成功している。

 今年のパリサロンは韓国メーカーの展示も見逃せない。Hyudai Motor社からは、新型ハッチバック「i20」に、100g/kmを切るという素晴らしいCO2排出性能を誇る仕様が発表された(写真22)。市販モデルではないが、近いうちに市販されそうな完成度だった。Kia Motors社からも、小型SUVである「SOUL」をベースにしたハイブリッドモデルが発表されていた(写真23)。

 最後に、コンパクトカーの中のコンパクトカーとも言えるかもしれない自動車について紹介する。“マイクロカー”と呼ばれるこのカテゴリは、おそらく通常の乗用車とは異なるのだが、数社がラインナップを持っている。あるブランドでは、6kWのヤンマー製汎用ディーゼルエンジンを搭載している(写真24)。なお、これらのマイクロカーメーカーも、2009年には電気モーターを搭載し、電気自動車としての市販を計画しているというから開発はかなり進んでいる。

(モータージャーナリスト、長沼 要)

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