シーメンスPLMソフトウェアは、2008年10月22日、 製品セールス戦略に関する記者説明会を行った。同社の会計年度は10月から始まる。2009年度が始まるにあたり、日本における「NX」を始めとするデジタル・マニュファクチャリング製品のセールスのさらなる強化を行うと発表した。
またそれに際し自社でユーザー調査を行い、そのデータを基にして現状の日本に合った戦略を展開していくという。
同社のユーザーは「Current」「Best」「Next」「Future」の4つのプラクティス(グループ)に分けることができると独Siemens PLM Software アジア太平洋地域 マーケティング部門 マーケティング・ディレクターのディーター・クリンケ(Dieter Klinke)氏は説明した。
Currentは、モデリングやアセンブリ、干渉チェックなどの検証をしたりなど、(いまの時代では)標準的といわれる作業のみに使用しているユーザーを指す。BestはCurrentよりも少しスキルの高いユーザーを指し、解析やシミュレーションを積極的に行ったり、ナレッジ共有をしたり、環境設定の管理、ワークフローや変更履歴の管理も日ごろから行っているグループとしている。日本のユーザーの大半は、この2つのプラクティスの過渡にいるとクリンケ氏はいう。
現状の日本ではあまり存在しないというNextプラクティスとは、DFSS(設計開発向けシックスシグマ)、メカトロニクス(ハードウェア)関連との協調設計、PLM基盤の採用などデジタルマニュファクチャアリング、サプライヤ管理などを積極的に行っているユーザーだという。ここまでになると、日本国内だと大手自動車メーカーやその一次サプライヤの一部ぐらいだといわれる。現状における日本の多数派ユーザーは、3、4年後にたどり着くだろう段階であるとクリンケ氏は説明した。
Futureは、企画、設計、試作、製造、市場投入などすべての過程をデジタルのバーチャル環境で統合管理するという、現状の日本からすれば究極ともいえるステップだ。
ものづくり環境をデジタル化すれば、検討や作業の無駄が省け、作業スピードや生産性が向上し、コストダウンも可能だ。ただ頭では分かっていても、なかなかそれを徹底実行できないと考えているユーザーが日本には多い。同社の調査は、その裏付けであるといえる。つまり同社の今年度の課題とは、そこを具体的にどうフォローしていこうかということであるようだ。
シンクロナステクノロジを用いた使い勝手のよいデジタル設計ツールを提供することで、ユーザーの生産性を高めることも、日本のユーザーがNextのステップに進むための手助けの一環であるとクリンケ氏は説明した。
また、過去に導入した他社製品も含むシステムも無駄にすることなく有効に使えるような製品をこれからも提供していきたいと強調した。
シーメンスPLMソフトウェア 代表取締役社長 三澤一文氏は、「いまは業界における当社の位置付けの再確認のタイミングともいえる。これからもエンジニアリングソフトウェアのリーディングカンパニーというポジションをしっかりと確保していきたい」と話した。
上記のNextプラクティスに関して、日本のユーザーにもっと積極的に理解してもらいたいという。またBestプラクティスやNextプラクティスへ進むためのキーは、デジタル・マニュファクチャリングが握ると三澤氏はいう。その核といえるNXや「Teamcenter」などの同社製品のセールスを強化するとともに、有償での高度で専門的な技術サービスにもより力を入れていく方針とのことだ。また、販売代理店やシステムインテグレータ、コンサルタントとも積極的に協業し、ビジネスアライアンスの拡大も狙うと話した。
せっかく買ったNX、最大限に使う
シーメンスPLMソフトウェアは 2008年10月22日より、同社のパートナー教育を充実させるための施策として、同社内のみで行っていた認定試験制度「Global Certification Program(グローバル・サーティフィケーション・プログラム)」を社外にまで適用を拡大すると発表した。ユーザーのスキルを向上させ生産性を高めることで、費用対効果を高めてもらう、要は「せっかく投資したCAD/PLMの恩恵をもっと受けてもらおう」というわけだ。また社内人事の基準としてもらうことも可能だともうたう。
NXやTeamcenterといったハイエンドなシステムだけではなく、ミッドレンジCADであるSolidEdgeの認定試験もある。これらはWebにて選択式の試験が行われる。自社(自己)流で行ってきた設計作業の見直しを図ることもできるだろう。
料金は半日で5万円(税抜き)で、日本語と英語が選択できる。
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