コースアウトも何のその、ロボコンにも“鈍感力”をETロボコン2008〜チャンピオンシップへの道〜(2)(1/2 ページ)

ETロボコン関東地区2回目の試走会の模様をお届けする。ツインループやショートカットなどの“難所”に挑む参加者たちの思いとは?

» 2008年09月05日 00時00分 公開
[上口翔子,@IT MONOist]

 前回の試走会から約1カ月。2008年8月30日、31日にETロボコン関東地区2回目の試走会が行われた。

 本番となる地区大会が2週間前と迫ったいま、大会正式コースを使用できるこの試走会は最終調整ともいえる貴重な場だ。それは参加者の言葉からもうかがえた。今回は筆者が注目した6つのチームの激戦の模様をインタビュー形式でお届けする。

こがっ2(富士ゼロックスエンジニアリング)

 難所のツインループを軽々とこなしていた「こがっ2」。今年は前大会のリベンジに向け闘志を燃やしていた。

こがっ2 画像1 こがっ2

――走行に関して工夫しているところはありますか?

 「走行タイムを縮めるために、走行時になるべく首を振らないようにするPID(Proportional Integral Differential)制御走行というものを採用しています。また、普段練習しているコースと本番コースの環境の違いによって走行にばらつきが出ないように、品質工学を使って、最適なセンサの高さやパラメータを求めています」

 「昨年の大会では決勝まで残ることができなかったので、今年は難所を全部クリアすることを目標にしています。もちろんスピードも重視しています」

――現在の課題は何ですか?

 「ショートカットの難所をなかなかうまくクリアできません。難所に入る前の灰色部分はスピードが速いとセンサがうまく検知できないので、難所の手前で少しスピードを落として確実に検知させて、難所を出たらまたスピードを上げる、という走行を目指しています」

――メンバー数は9名とのことですが、各自担当などは決まっているのですか?

 「モデルなどは全員で決めて、走行しながら随時変更しています。難所などのプログラムは分担して行っています」

試走会の様子1 画像2 試走会の様子1
開始直後の様子。ひたすら試走しているチームもあれば、途中からはプログラムの改良時間に費やしているチームもあった

Strong Will(NS・コンピュータサービス)

 新人教育の一環で参加しているという「Strong Will」は、社内予選で見事勝ち残った強者チームだ。なんと、社内予選の段階ですでにツインループとショートカットの難所を通過していたという。試走会当日は、6人のメンバーの中から代表2人が参加していた。

Strong Will 画像3 Strong Will

――今日の調子はどうですか?

 「調子は……、悪いです。難所のショートカットで、灰色部分の読み取りに失敗することが多いため苦戦しています。いま、灰色検知ではなく、あらかじめ距離を設定したプログラムを組むことで、灰色が読めなくても走行できるように改良しています。また、コースの状態によっても走行が変化してしまうので、それに左右されないように、電圧やプログラムを変更しています」

――前回の試走会から大分変更があったのですか?

 「モデリングに時間をかけました。電圧でスピードを調整する部分がほぼ文句のない状態にまで改良されたと思います」

チームテンプら(テンプスタッフ・テクノロジー)

 ロボコン好きの5名で構成された「チームテンプら」。最近は休日のほぼすべてをロボコンに費やしているそうだ。昨年まではJavaで開発していたが、今大会からはC++を採用し、好結果を狙っているという。

チームテンプら 画像4 チームテンプら

――今年の目標は何でしょう?

 「昨年の大会は走行タイムがだいぶ遅かったので、今年はオブジェクト指向の分析と設計をきちんとやることで、速さを追求したプログラムを作っています。遮光用のスカートもロボットの重量が重くなってしまい、結果としてスピードも落ちてしまうので、あえて使用せずにプログラムで補っています」

――モデルにも力を入れているのですね

 「クラス図などの設計も採点に含まれますので、いろいろ粗(あら)がないか何度も修正しました」

――ロボコンは学生時代からやっているのですか?

 「入社してからです。LEGO Mindstormsは会社に8台ありますが、新人研修などでは扱わなかったので、有志で活動しています」

試走会の様子2 画像5 試走会の様子2
前回の試走会に比べ、難所のツインループに成功しているチームが増えていた
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