連載
» 2008年07月04日 00時00分 公開

芋づる式に問題の根本を発見し解決するツールジレンマ解消! TOC思考プロセスの基本を学ぶ(3)(2/3 ページ)

[村上 悟/ゴール・システム・コンサルティング,@IT MONOist]

問題の構造は「過去・現在・未来」

 人間は通常、自分の価値観に沿って行動します。「私がどう行動するか知りたければ、私をどう評価するか教えてください」という名言がありますが、まさに人間行動の本質を突いています。原因と結果の間には必然性があり、現在私たちが置かれた状況は必ず過去において何らかの原因があり、訪れる未来は現在の結果なのです。

 そう考えると毎日慢性的に発生するさまざまな問題には、必ず過去に原因があります。そして、その原因を探し出して変えられれば、より良い未来が得られると考えられないでしょうか。いい方を変えれば予測不能と思われている未来も、ある程度予測できる、作り出す可能性があるということなのです。もちろん過去といっても10年前かもしれませんし、たった10秒前かもしれません。しかし、いま私たちが見ているこの瞬間は「過去の結果」なのです。過去に学んで、行動を変えれば、必ずより良い未来が得られると考えるのです。

 私たちが「問題」を感じているのは現在です。「以前はこうだった……」「将来こうなるかもしれない……心配だ」という過去に対する後悔も、将来に対する不安も、すべていま現実に感じていることから発生しています。問題を解決するためには、過去・現在・未来を明確に識別し、現在の問題を生み出した過去のPMBを明らかにし、それによって発生した現在の姿を明確にしなくてはならないのです(図2)。

図2 過去・現在・未来を明確にする 図2 過去・現在・未来を明確にする

 ここでようやく因果とジレンマを結び付けることができるようになりました。これまでの連載を思い出してください。第1回「あなたの行動を制約しているのは“ジレンマ”だ」と第2回「社内の対立を解消するツールとその使い方を伝授」ではジレンマについてお話ししました。もうお分かりですね。実はこのジレンマの構造「雲:クラウド」は、PMBそのものなのです。

 少し考えてみましょう。PMBは、P(方針や風土、しきたりや自分の信念など)がM(評価、評判・行動の基本方向)を決め、その結果によって、B(行動や発言)が決まると説明しました。また一方で、問題とは必ずジレンマから派生するともお話ししました。図3をご覧ください。2つのポリシーと2つの評価軸がジレンマを引き起こし、行動を規制しています。

図3 「雲:クラウド」とPMB 図3 「雲:クラウド」とPMB

 こうしたジレンマの結果として、第1回でお話ししたように妥協や二者択一(抹殺)など、第3の行動が起こります。そして、今回説明したように第3の行動から因果的にさまざまな問題が発生するのです。では、これら多くの問題を解決する際にどうしたら良いのでしょうか。すべてのピンポン玉を沈める最も効果的な方法は、ピンポン玉を浮かび上がらせている「水」を抜くことです。つまり、中核のジレンマを解決してやれば、多くの問題は芋づる式に解決するはずです。

 今回の連載では、第2回で説明した「中核のジレンマ」がすべての問題(UDE:Un-Desirable Effect)に芋づる式につながっていることを確認するツール、「現状構造ツリー」の作成方法を説明します。

現状構造ツリーを作成する

 まず、第2回で作成した中核の雲(クラウド)を用意してください。ここから中核の雲が、過去にどんな行動を引き起こしていたのかを洗い出していきます。

1)中核の雲(クラウド)を反時計回りに90度回転させ表現を調整する

 図4のように、中核の雲(クラウド)を反時計回りに90度回転させます。現状構造ツリーでは、因果関係ロジック(注1)でボックス(箱)をつないでいきますので、ここで各ボックスの表現を次のように調整します。

  • A:「〜したい」
  • BおよびC:「〜でなければならないと思う」
  • DおよびD':「〜しなければならない」

 表現を調整したら、「もしAならば、そのときはBである」と下から上に向かって因果関係ロジックで読み、筋(論理)が通っているかチェックします。

図4 中核の雲(クラウド)を回転させる 図4 中核の雲(クラウド)を回転させる

:注1:因果関係ロジック もし○○ならばそのときは△△になると読んでいきます。詳しくは次ページの「4)原因と結果の因果関係を用いて、中核問題と症状(UDE)をつなげる」の項を参照してください。


2)仮定や思い込みを挿入する

 中核の雲(クラウド)を作成したときに考えた仮定を、図5のように回転させた中核の雲(クラウド)に挿入します。各ボックス間の仮定が複数存在する場合は、その中で最も強いものを挿入します。例えばA−B間の仮定の場合、「もしAかつ〔A−B間の仮定〕ならば、そのときはBである」と原因と結果の因果関係ロジックで読んでみて、筋(論理)が通っているか考えます。そのほかの仮定についても同様に挿入し、読み合わせをしてチェックします。

図5 回転させた中核の雲(クラウド)に仮定を挿入する 図5 回転させた中核の雲(クラウド)に仮定を挿入する

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