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» 2007年11月20日 14時00分 公開

設計者さん、解析業務の他人任せはやめましょうCAEの理想と現実(下)(2/4 ページ)

[新留 正俊/サイバネットシステム メカニカルCAE事業部,MONOist]

ケース2 工作機器メーカー B社

「どう使ったらいいのか、さっぱり分からんのだが」――ツールが高機能かつフレキシブルなために、設計者が使いこなせなかった件

 工作機器メーカーのB社では、納期短縮と製品の品質向上、そしてコスト削減が急務でした。競合会社の中には、すでに設計部門でCAEを導入しているところが何社かあり、危機感を持っていました。そこでB社の経営陣は解析部門に対して設計者向けCAEの導入を検討させることにしました。解析部門では自部門で使用しているCAEツールをはじめとしてさまざまなソフトウェアの情報を収集しました。

 そして、解析部門で使用しているツールとの相性が良く、さまざまな機能を兼ね備えたツールを選定しました。またツール選定だけでなく設計部門に対する勉強会の定期開催や、業務上のフォロー体勢を構築し、しっかりとした教育・サポート体制を整えました。このような解析部門の協力体制のおかげで、当初設計部門では、CAEの重要性はもちろん有限要素法や材料力学の初歩についても十分に学ぶことができました。そして実際に設計部門でCAEを使い始めると、頻繁に解析部門に問い合わせが入るようになります。これは、設計者が実際にCAEを使おうとしているためなのですから、当初はとても良い傾向に思えました。

 ところが、導入を開始してから数カ月が経過しても、なかなか問い合わせが減りません。しかも質問内容が導入当初とほとんど変わらず、1人の設計者が同じ質問を何度もすることが珍しくありません。解析部門の負担も増えるばかりです。

 そこで、設計部門から届く質問の分析と設計者1人1人へのヒアリングを実施し、CAEが有効に活用されているのかどうか、解析部門で調査・検証してみることにしました。

B社の現場では何が起こっていたのか?

 解析部門が行った調査結果は惨憺(さんたん)たるものでした。設計者は、まったくCAEツールを使いこなせておらず、ほとんど結果を出せていなかったのです。あと数カ月もすれば、質問することすらあきらめてまったく使わなくなるという意見が大半を占めたのです。

 その理由は、解析ツールの機能があまりに多く、設定の自由度も高いので使いこなすのが大変だったためでした。これは、そもそも解析部門が設計者に期待していた解析の範囲自体が広過ぎたのかもしれません。

alt 機能がいろいろあり過ぎて使いこなせない

B社が取った解決策

 まずは設計部門で行うべき解析内容と、解析部門で行うべき解析内容の線引きを再確認することにしました。それを踏まえたうえで設計者向けCAEに必要な機能を明確にし、設計者にとって使い勝手の良い別のCAEへの切り替えを検討する計画です。

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