「サイレンサーは、排気ガスを1往復半させてから圧力を逃がすような構造になっています。設計時には流体解析を行い、最適な条件で消音効果が望めるようにしました。
シフトにリジット感を出すため、ワイヤを使わず、レバーに直接リンクさせるような設計になっています。また、ブレーキマスターシリンダと前後のブレーキバランスが、コクピットで調整できるようにもなっています。
スタビライザーには、トーションバーではなく、板バネを使いました。部品を軽量化し、かさばらないようにするためです。
フレームは、一見、カーボン製に見えると思います。でも、その中身はアルミのハニカム構造になっていて、表面にカーボンパネルを使っています。フレームをこのようなコンポジットにすることで、軽くしつつ剛性も上げるようにしました」(伊藤 優歩さん)。
「昨年中にベンチマークテストを終わらせ、今年の1月には、この大会に持ち込んだ車の前のモデルを完成させました。
以前から、エンジンにはターボチャージャーを搭載しています。トルクバンドが広くなり、エンジン出力を維持したまま最大出力点を低回転側にシフトしました。
フラットトルクでクイックレスポンスになるようにして、乗りやすさを追求しました。高速でコーナーを抜けやすくするため、サスペンションの戻りを早くするようにしています。解析はもちろんのこと、サスペンションにデータロガーをつないでデータサンプリングする地道な実験検証も行いました。
また、スタビライザーの剛性が、ボルトの調整によって変えられるようになっています。フロント加重の移動量を調整することもできます」(小田 博之さん)。
「ドライバーは、プロではなく素人です。だれが乗っても運転しやすい操作性になるようにしました。ドライバーの体格差によって、ペダル位置が調整できるようになっています。コクピット周りの配線も、きれいにまとまっていると思います。
とにかく基本に忠実に設計しましたが、フレームの分割が自由にできるようにしたり、エンジンを縦置きにしたりと、独自性ある工夫もしました」(宮崎 達也さん)。
第2回は、東京大学チームのリーダー 秋元 健太郎さんにバトンタッチして、「東京大学のピットから見た4日間」のレポートをお届けします。審査の具体的な内容にもクローズアップしていきます。(次回に続く)
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