【問題12】 7セグメントLEDの表示回路完全マスター! 電子回路ドリル(14)

今回の宿題は「7セグメントLEDに“H”と表示させるには、出力ポートからどのような信号を出力しますか」という問題です

» 2007年09月27日 00時00分 公開
[横田一弘 埼玉県立新座総合技術高等学校 教諭,@IT MONOist]

【問題11】の解答

 【問題11】の回路においてLEDが光るのは出力ポートから1(High)が出力されたときでしょうか? それとも0(Low)が出力されたときでしょうか? という問題でした。

 皆さん解けましたか?

 解けた方も解けなかった方も答え合わせをして、次項の解説までぜひ読んでみてください。毎週コツコツ問題を解いて、電気・電子回路の基礎知識を身に付けてください。

 それでは、解答を発表します!


【問題11】の解説

 【問題11】は、マイコンが“1”、すなわち「高い電圧」を出力したときと、“0”、すなわち「低い電圧」を出力したときの回路の動作を調べる問題です。

 それでは回路の動作を検証してみましょう。

 最初に回路図について説明します。

 【問題10】と同様に、【問題11】の回路図はマイコンシステムのLED表示部のみを描いたものです。Vccとはマイコンの電源を表す記号です。つまり、【問題11】の回路は図1のように使われます。

マイコンによるLED出力 図1 マイコンによるLED出力

 次に、回路の動作について説明します。【問題11】の回路の機能は、図2のような“等価回路”で考えることができます

【問題11】の回路の動作 図2 【問題11】の回路の動作

 マイコンの出力ポートから“1”を出力した場合、すなわち図2のスイッチが(High)側のとき、

  1. ポートから電源電圧に近い電圧が出力される(例えば、5V)
  2. LEDの両端の電位差はないのでLEDに電流は流れない
  3. LEDは光らない

と回路が動作し、LEDは光りません。

 マイコンの出力ポートから“0”を出力した場合、、すなわち図2のスイッチが(Low)側のとき、

  1. ポートの電位は0Vになる
  2. LEDの両端に電位差があるのでLEDに電流が流れる
  3. LEDは光る

と回路が動作し、LEDは光ります。

 よって、答えは「マイコンの出力ポートから“0”を出力したとき」となります。

 さて、前回に引き続きマイコンによるLED表示回路を紹介してきましたが、次に図3に示す2種類のLED表示回路を見てください。図3(a)、(b)はそれぞれどのように使い分けたらよいと思いますか?

2種類のLED表示回路 図3 2種類のLED表示回路

 ここで、図3(a)、(b)の回路を電気的に比較してみます。

 図3(a)の回路は、マイコンの出力ポートから“1”を出力したときにLEDが光る回路です。LEDが光るとき、マイコンの出力ポートから電流が“流れ出し”ます

 図3(b)の回路は、マイコンの出力ポートから“0”を出力したときにLEDが光る回路です。LEDが光るとき、マイコンの出力ポートに電流が“流れ込み”ます

 このように回路の組み方によってマイコンの出力ポートには電流が流れ出したり、流れ込んだりします

 では、どちらの回路を使用すればよいのでしょうか。ルネサステクノロジのH8マイコンを例に調べてみましょう。

 表1はH8/3052Fのハードウェアマニュアルから、ポートの“出力許容電流値”を抜粋したものです。H8/3052Fにはポート1、2、3、4、5、6、7、8、9、A、Bの11本のポート(そのうちポート7は入力専用)がありますが、その電気特性はポートによって異なります。

出力許容電流値 表1 出力許容電流値

 表1の「出力Lowレベル許容電流 IOL」とは、出力ポートから“0”を出力したときの電流、すなわち出力ポートに“流れ込む”電流をいいます。

 また、「出力Highレベル許容電流 IOH」とは、出力ポートから“1”を出力したときの電流、すなわち出力ポートから“流れ出す”電流をいいます。

 ポート1、2、5、Bはほかのポートより大きい電流を流すことができます。その許容電流値は、IOLが最大10mA、IOHが最大2mAですから、“流れ込み”電流によってLEDを光らせる図3(b)の回路の方がよいといえます。そのほかのポートの許容電流値はIOL、IOHともに最大2mAですのでLEDへの出力はギリギリでしょう。

次回までの宿題 ― 【問題12】

次回までの宿題【問題12】

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