前回の宿題はマイコンでLEDを点滅させる問題。マイコンが高い電圧を出力したときと、低い電圧を出力したときの回路の動作は?
1学期後半、最初の宿題【問題10】の解答を発表します。
【問題10】の回路においてLEDが光るのは出力ポートから1(High)が出力されたときでしょうか? それとも0(Low)が出力されたときでしょうか? という問題でした。皆さん解けましたか?
解けた方も解けなかった方も答え合わせをして、次項の解説までぜひ読んでみてください。毎週コツコツ問題を解いて、電気・電子回路の基礎知識を身に付けてください。
それでは、解答を発表します!
コンピュータを作る電子回路は“デジタル回路”とも呼ばれ、電圧が「高い」か「低い」かの2つの電気信号で動作しています。
コンピュータの信号は、表1のように、高い(High)・低い(Low)の2つの電圧レベルに対して数字の“1”か“0”を割り当て、数の形(2進数)で表しています。「コンピュータは2進数で動いている」といった表現はここから生まれたのです。
電圧レベル | 論理 |
---|---|
高い(High) | 1 |
低い(Low) | 0 |
表1 電圧レベルの約束 |
【問題10】はマイコンが“1”、すなわち「高い電圧」を出力したときと、“0”、すなわち「低い電圧」を出力したときの回路の動作を調べる問題です。
それでは、回路の動作を検証してみましょう。
最初に回路図について説明します。
【問題10】の回路図は、いままでの問題と違ってとてもシンプルになっていますので、戸惑いを感じた方もいるのではないでしょうか? マイコンのように複雑かつ大規模な回路を設計するときは、回路を機能的に分割し、部分的に独立して考えます。図1のように【問題10】の回路図は、マイコンシステムのLED表示部のみを描いたものです。そして、この回路は機能的に独立しているので、どのようなマイコンでも使うことができます(電流の大きさが許される範囲で)。
多くの場合、電子回路の回路図には図2のような“グランド記号”が描かれています。グランドとは回路の基準、すなわちゼロ電位(0V)を決めるものです。図1のグランドは電源のマイナスラインにつながれています。電圧の「高い」「低い」は、ここを基準とするものです。
次に、回路の動作について説明します。
回路の動作を調べるために、図3のような等価回路で考えてみます。
マイコンの出力ポートから“1”を出力した場合、すなわち図3のスイッチが(High)側のとき、
と回路が動作し、LEDは光ります。
マイコンの出力ポートから“0”を出力した場合、すなわち図3のスイッチが(Low)側のとき、
と回路が動作し、LEDは光りません。
よって、答えは「マイコンの出力ポートから“1”を出力したとき」となります。
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