電流を流すと光を発する電子素子“LED”はダイオードの一種です。そして、ダイオードと同じ極性があり電流を一方向にしか流しません
前回の宿題【問題6】は、抵抗と赤色LEDが直列接続されている回路において、そのLEDを光らせた際に流れる電流を求める問題でした。皆さん解けましたか?
解けた方も解けなかった方も答え合わせをして、次項の解説までぜひ読んでみてください。毎週コツコツ問題を解いて、電気・電子回路の基礎知識を身に付けてください。
それでは、解答を発表します!
それでは解説に入ります。
LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)は、ダイオードの一種で、電流を流すと光を発する電子素子です。図1のように、LEDにはダイオードと同じ極性があり、電流を一方向にしか流しません。
ダイオードに電流が流れる向きを“順方向”、流れない向きを“逆方向”といいます。LEDを光らせるには、LEDに順方向電圧を加え電流を流します。つまり、アノード(anode)に電源のプラス、カソード(cathode)に電源のマイナスを接続するのです。
【問題6】を解くためには、LEDの特性についてもう少し詳しく知る必要があります。
図2は、筆者が手元にあるLEDの順方向電圧VF−順方向電流IF特性を測定したものです。LEDの特性は多少ばらつきがありますが、おおむね図2のような特性をしています。
図2から、LEDに流れる電流は電圧に比例しないことが分かります。
LEDに順方向電圧を加えても、その電圧が小さいと電流は流れません。赤色LEDの場合、1.6V付近から電流が流れ始め、1.8V付近では急激に電流が大きくなります。
LEDに必要以上の電圧を加えると、電流が流れ過ぎてLEDを壊してしまいます。LEDには10mAくらい電流を流せば十分でしょう。
それでは、ここまでの解説を基に【問題6】を解いてみましょう。
500Ωの抵抗と赤色LEDを直列接続し、5Vの電圧を加えLEDを光らせました。回路に流れる電流は何[A]ですか?
図3において、回路に流れる電流I[A]は、
で求めることができます。
ここで、赤色LEDに電流が流れるとき、順方向電圧VFは約1.8Vでほぼ一定になることから、
となり、回路に流れる電流は「約6.4mA」と求められます。
図2のとおり、ダイオードの特性はダイオードの種類によって違います。【問題6】のような問題では、次の順方向電圧VFで計算するとよいでしょう。
ダイオードの種類 | 順方向電圧VF[V] | |
---|---|---|
信号用ダイオード | 0.6から0.7 | |
赤色LED | 1.8から2 | |
橙色LED | 1.8から2 | |
緑色LED | 2 | |
青色LED | 2.8から3 | |
表1 ダイオードの順方向電圧 |
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